人生の後半の人間関係を見直す|3つの観点
手帳を開いて、来月の予定を上から眺めてみてください。書き込まれている予定のうち、自分が「行きたい」と思って入れたものは何件あるでしょうか。断りにくくて受けたもの、毎年の慣例だから入っているもの、誰かの顔を立てるためのもの。数えてみると、思ったより少ないことに気づく方が多いのです。そして、そのことに気づいた瞬間から、人間関係の見直しは始まっています。
こんにちは、縁の整え方の専門家・出雲です。先に結論をお伝えしますね。
- 人生の後半とは特定の年齢ではなく、「残りの時間が数えられる」という感覚が始まった時点のことです
- 後半の人間関係の見直しは、誰を切るかを決める作業ではなく、時間の配分をやり直す作業です
- 見直す場所は3つだけ。時間の使い先、会う頻度、そしてこれから新しく作る縁です
この記事では、年齢に関係なく使える3つの観点と、手をつける前に自分に聞いておきたい5つの問いをお伝えします。
人生の後半は、年齢ではなく感覚から始まります
まず、いちばん誤解されやすいところをほどいておきます。
人生の後半という言葉を聞くと、多くの方が50歳とか60歳といった数字を思い浮かべます。けれど、実際にこの言葉が自分のことになる瞬間は、人によってまるで違います。40代前半で親を見送って、その日から時間の見え方が変わった方もいます。60代でまだ折り返した感覚がまったくない方もいます。
私が見てきた限り、人生の後半に入ったと感じるのは、次のような感覚が生まれたときです。この人とあと何回会えるだろう、と自然に数えている。やりたいことのリストを、増やすより減らすほうが現実的だと感じる。若い頃なら我慢できた時間の無駄が、はっきり惜しくなる。
この感覚は、悲しいものではありません。むしろ、選ぶ力が手に入った合図です。時間が無限にあると思っているうちは、人は何も選びません。全部に付き合えるからです。有限だとわかった瞬間から、初めて配分という考え方が生まれる。
ですから、この記事は年齢を問いません。「時間を数え始めた人」のための話です。
見直しは、切る作業ではなく配分をやり直す作業です
次に、言葉の置き換えをしておきましょう。
人間関係の見直しというと、多くの方が「誰との縁を終わらせるか」を考え始めます。そして、たいていそこで止まります。相手の顔が浮かんで、悪い人ではないと思い直して、また元に戻る。何度も同じところで足踏みしてしまうのは、意志が弱いからではありません。切るという発想そのものが、この作業に向いていないからです。
かわりに、こう考えてみてください。あなたが持っているのは、一年分の時間と体力という決まった量の資源です。見直しとは、それをどこに配るかを決め直すこと。誰かへの配分を減らすことは、その人を否定することではありません。
そして配分をやり直すと、不思議なことが起きます。減らした先ではなく、増やした先に変化が出るのですね。年に一度しか会えなかった大切な人と、三度会えるようになる。それだけで一年の手ざわりが変わります。
具体的な進め方の手順を知りたい方は、50代の人間関係の断捨離に順番を追った7ステップをまとめてあります。この記事では、その前に決めておきたい3つの観点をお話しします。
観点1.時間の使い先——一年の予定を4つに仕分ける
最初の観点は、量です。誰と会うかの前に、何にどれだけ使っているかを見ます。
去年一年間で、人と会うために使った時間を思い出してください。そして、次の4つに仕分けてみます。
第一に、会いたくて会った時間。第二に、役目として必要だった時間。第三に、断れなくて受けた時間。第四に、なんとなく続いている習慣の時間です。
多くの方が、第三と第四で半分以上を使っています。そしてこの二つは、減らしても誰も困りません。第二の役目の時間は、量ではなく形を変えることを考えます。行事には出るけれど滞在は短くする、といった具合ですね。
ここで大事なのは、空いた時間の行き先を先に決めておくことです。決めないまま空けると、空白を埋めるために元の予定が戻ってきます。人間関係の見直しが元に戻ってしまう最大の原因は、これです。
観点2.会う頻度——縁は切らなくても濃度を変えられます
二つ目の観点は、濃度です。
人間関係を白か黒かで考えていると、選択肢が「続ける」か「切る」の二つしかなくなります。けれど実際の縁には、無数の中間があります。月に一度が年に二度になる、集まりには出るけれど個別には会わない、連絡は取るけれど会わない。
この濃度の調整は、相手を傷つけずにできるのが利点です。ある日を境に切ると、相手には出来事として残ります。頻度をゆるやかに変えるだけなら、たいてい何も起きません。
濃度を決めるときの目安を、ひとつだけお伝えします。会って別れたあと、家に着くまでの気分を思い出してみてください。足取りが軽い相手は増やす、重い相手は減らす。理由を言葉にできなくてかまいません。体の反応のほうが、頭の判断より正確なことが多いのです。
そして、濃度を下げた相手を、心の中で悪者にしないでください。悪者にすると、こちらの中に感情が残り続けます。ただ配分を変えただけ、と扱えると、驚くほど後味が軽くなります。人間関係全体の疲れを整理したい方は人間関係に疲れたときの総合ガイドも入口に使ってみてください。
観点3.新しく作る縁——後半の縁は、足すのではなく入れ替える
三つ目が、いちばん見落とされる観点です。見直しというと減らす話ばかりになりますが、後半の人間関係で決定的なのは、これから何を入れるかのほうです。
人生の後半に入ると、縁のでき方が変わります。若い頃は、学校や職場という場が勝手に人を運んできてくれました。その仕組みは、役割が減るほど働かなくなります。だから、意識して場に通わないかぎり、新しい縁は増えません。
ここで焦らないでいただきたいのは、たくさん増やす必要がないということです。後半の縁は、数ではなく種類で考えます。用がなくても話せる相手、同じ関心を共有できる相手、いざというときに連絡できる相手。全部を一人に求めると重くなるので、別々の人でかまいません。
そして、新しい縁は「友達を作りに行く」と力むほど遠のきます。同じ場所に定期的にいるだけで十分です。教室でも、図書館でも、地域の当番でも。通っているうちに顔がわかり、名前がわかり、そのうち少し話す。後半の縁は、たいていこの順番でできていきます。
手をつける前に、自分に聞いておく5つの問い
観点がそろったら、動く前にこの5つを自分に聞いてみてください。紙に書きながらだと、はっきりします。
- この一年で、いちばん時間を使った相手は誰でしたか。その配分に納得していますか
- 予定を断ったとき、いちばん怖いのは何ですか。相手の反応でしょうか、それとも自分が薄情に見えることでしょうか
- 今の関係の中で、あなたが「役目」として引き受けているものはどれですか。それは今も必要ですか
- これから増やしたい時間は、人と過ごす時間ですか、一人で過ごす時間ですか。ここを取り違えると、見直しの方向がまるごとずれます
- 10年後、隣にいてほしい人を三人挙げるとしたら誰ですか。その三人に、今どれだけ時間を配っていますか
5番目の問いに答えたとき、多くの方が同じことに気づかれます。いちばん大事な人に、いちばん時間を使えていなかった、と。見直しの本当の目的は、そこを直すことなのですね。
縁切り・開運の視点——器を空けるのではなく、置き直す
縁を見つめてきた立場から、最後にお話しさせてください。
昔から、人の縁には結ぶ時期とほどく時期がある、と言われてきました。人生の後半は、ほどく側に見えて、実は置き直す時期です。ほどいたまま何も置かないでいると、空いた場所には、たいてい元と似たものが戻ってきます。
ですから見直しの順番は、ほどく前に「何を置きたいか」を決めることです。順番を逆にした方ほど、途中で寂しくなって元に戻っています。流れそのものを一度整え直したい方は運気をリセットする方法に、手をつける順番をまとめました。
そしてもうひとつ。後半の縁が減っていくのは、あなたに魅力がなくなったからではありません。縁の作られ方が、場に支えられる形から、自分で選ぶ形へ移っただけです。この長い流れは年齢とともに縁が変わる意味で詳しくお話ししました。
見直しとは、人を減らすことではなく、あなたの一年をどこに配るかを自分の手に取り戻すこと。そう捉えていただけたら、この作業はずいぶん軽くなりますよ。
まとめ
- 人生の後半は年齢ではなく、時間を数え始めた感覚から始まります
- 見直す場所は3つ。時間の使い先、会う頻度、そしてこれから新しく作る縁です
- 空いた時間の行き先を先に決めること。決めないと、元の予定が戻ってきます
今の配分がどれくらい「自分で選んだもの」になっているか、確かめてから手をつけると迷いが減ります。
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