経済格差で友達と疎遠になる|過程と向き合い方
久しぶりに届いたメッセージに、待ち合わせのお店のリンクが添えられている。開いて、そっと閉じる。前は同じ千円のランチで何時間でも笑っていたのに、いつからか、会う前に電卓が動くようになりました。嫌いになったわけではありません。喧嘩もしていません。それなのに、少しずつ返事が遅くなって、気づけば半年会っていない——。経済格差で友達と疎遠になることについて調べてくださったあなたは、この静かな距離のでき方に、名前をつけたいのだと思います。
先に、この記事の結論をお伝えします。
- 経済的な事情で疎遠になるのは、どちらかの人間性の問題ではなく、生活の場が離れていくことで起きます
- 疎遠には5つの段階があり、今どこにいるかで、できることが変わります
- 続けたいなら手はありますし、自然に離れることを選んでも、それは失敗ではありません
この記事は、収入の多い少ないで人を評価する立場では書いていません。どちらの側から読んでも、責められた気持ちにならないようにお伝えします。
疎遠になるのは、どちらかが悪いからではありません
はじめにお伝えしておきたいことがあります。経済的な事情で友達と距離ができたとき、多くの方が自分か相手のどちらかを責めます。「私に余裕がないせいだ」「あの子が変わってしまった」。けれど、私が見てきた限り、この距離のほとんどは、人柄ではなく生活の位置が変わったことで生まれています。
友情の多くは、同じ生活の場を共有していることで続いています。同じくらいの家賃の部屋、同じ価格帯のお店、同じ休みの取り方。ここが離れると、会うために互いが調整する量が増えます。調整が増えると、会うこと自体が少しずつ「気を使う予定」に変わっていく。そして、気を使う予定は、忙しい時期に真っ先に後回しになります。
大事なのは、どちらの側にも言い分があるということです。余裕のある側は「気を使わせたくない」と思って店選びに悩み、そうでない側は「合わせられない自分が惨めだ」と思う。どちらも相手を思っているのに、その優しさがすれ違って距離になる。これがこの問題のいちばん切ないところだと、私は思っています。
疎遠は、この5つの段階で進みます
今どこにいるかを見てください。段階によって、できることがはっきり変わります。
第1段階|行く場所が合わなくなる
店の提案がかみ合わなくなります。片方が挙げる候補が、もう片方にとって高い、あるいは物足りない。ここではまだ、どちらも何も言いません。「いいね」と返しながら、内心で調整しています。
この段階でできることは、実はいちばん多いです。「今日は安いところにしよう」の一言が、まだ自然に言える時期だからです。
第2段階|話題が半分になる
生活の話ができなくなります。片方は住宅や教育や旅行の話を避け、もう片方は節約や仕事の不安の話を避ける。互いに地雷を踏まないように話題を選ぶので、会話が昔話と共通の知人の話だけになっていきます。
この段階の疲れは、金額ではなく検閲から来ています。話す前に頭の中で一度選別する時間が、会うたびに積み重なるのですね。
第3段階|誘う側が固定する
いつも同じ側から誘うようになります。誘われない側は「嫌われたのかも」と思い、誘わない側は「合わせてもらうのが申し訳ない」と思っている。ここでもすれ違いが起きています。
この段階に入ったら、一度だけ確かめる価値があります。誘わなくなった理由が、遠慮なのか、興味が薄れたのか。これは推測ではわからないところです。
第4段階|連絡が季節の挨拶だけになる
誕生日、年始、共通の知人の報告。用件のない連絡が消えます。関係としてはまだ切れていませんが、日常からは外れています。
第5段階|自然消滅
どちらも悪くないまま、連絡が途絶えます。時間が経つほど、久しぶりの一通を送るハードルが上がっていきます。
自然に遠のいていく友情への向き合い方は、友達とのフェードアウトと罪悪感にもまとめていますので、第4段階から先にいる方はそちらも読んでみてください。
続けたいときの、3つの工夫
まだ第3段階までにいて、この関係を続けたいと思うなら、次の三つが効きます。
- 会う形を、食事以外にひとつ作る。散歩、展示、家でお茶。飲食の場は金額差が最も表に出る場所です。場を変えるだけで、調整の量がぐっと減ります
- 予算を、恥ずかしがらずに先に言う。「今日は三千円くらいで収めたいな」。この一言は、余裕のある側にとっても実はありがたい情報です。相手は店選びで悩まなくて済むようになります
- 頻度を落として、質を保つ。月一回が難しいなら、季節に一度でいい。回数を減らすことは、関係を薄くすることとイコールではありません
2つ目に抵抗を感じる方は多いのですが、これがいちばん効きます。言わないでいると、相手は「合わせてくれている」ことに気づけないまま、次も同じ水準の店を選んでしまいます。伝え方に迷う方は誘われる出費の断り方に、そのまま使える言い方を並べています。
余裕がある側にいる方へ
この記事を、支払う側の立場で読んでいる方もいると思います。奢ろうかと思っては、失礼になる気がしてやめる。店を選ぶたびに気を使う。「気にしないで」と言うことすら、上から目線に聞こえないか心配になる。その気の使い方も、確かに疲れるものです。
ひとつだけお伝えできるとしたら、金額をそろえようとするより、選ぶ場所をそろえるほうが関係は続きやすいということです。奢ることで解決しようとすると、相手の中に返せない借りが積もります。そうではなく、二人が同じ気持ちで「いいね」と言える場所を選ぶ。その調整のほうが、相手の尊厳を守ります。
そして、相手が誘いを断ったとき、それを拒絶と受け取らないでいてください。断るほうも、断るたびに小さく削れています。
疎遠でいい、と判断していい目安
続けることだけが正解ではありません。次のうち複数当てはまるなら、無理に引き戻さなくていい段階です。
- 会う前より、会ったあとのほうが気持ちが重い日が続いている
- 金額のことで一度でも見下された、あるいは笑われたことがある
- 相手の話が、持ち物や収入の確認ばかりになっている
- 自分の生活を、相手に合わせて盛って話している自分がいる
- 会うために、翌月の生活が苦しくなる支出をしている
最後の項目にあてはまるなら、そこはもう友情の問題ではなく、生活の問題です。生活を削って維持する関係を、私は勧めません。手放すかどうかを迷っている方は、波長が合わなくなった友達を手放すにはに、後悔の残りにくい手順をまとめています。
縁を整える視点——縁は、生活の位置に沿って動きます
ここからは、縁を整える立場としての見方をお伝えします。
昔から、人の縁はその時々の自分に合う形に入れ替わっていくと言われてきました。私はこれを、優劣ではなく位置の話だと捉えています。人は、生活の時間帯や関心が近い人と、自然に会いやすくなる。逆に、そこが離れると、気持ちがあっても会う回数が減っていく。責める必要のない動き方です。
そして、位置は一度離れたら終わりではありません。数年後に、また近づくことがあります。子どもの手が離れた、働き方が変わった、住む場所が変わった。そのときに、細く残しておいた一本の糸が生きてきます。だから私は、疎遠になった相手を心の中で終わらせてしまわないことをおすすめしています。年賀状一枚、誕生日の一行でいいのです。
年代とともに顔ぶれが入れ替わっていくことについては、年齢とともに縁が変わる意味でもお話ししています。三十代以降に友達が減ったと感じている方は、30代で友達が減ったと感じるときも合わせてどうぞ。
まとめ
- 経済的な事情での疎遠は、人柄ではなく生活の位置が離れることで起きる
- 5段階のうち第3段階までなら、場を変える・予算を先に言う・頻度を落とすの3つが効く
- 生活を削ってまで維持する関係は、続けなくていい。ただし糸は細く残しておく
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