帰省は何日で帰る?滞在日数の目安と決め方
新幹線の予約画面を開いたまま、帰りの日付のところで手が止まる。二泊にすると短すぎると言われそうで、三泊にすると自分がもたない。去年は四泊して、最後の二日はずっと部屋にこもっていた。帰省は何日で帰るのが普通なんだろう——そんな検索でここにたどり着かれたのではないでしょうか。
こんにちは、縁の整え方の専門家・出雲です。この問いには、はっきりお答えします。
- 帰省の滞在日数に「普通」はありません。ただし、消耗が急に増える境目はあります。多くの方にとって、それは三日目です
- 目安としては、二泊三日が基本形。移動距離が長い場合や介護・法事などの用事がある場合は、そこに一泊足して調整します
- そして日数以上に効くのが、帰る日を最初に伝えておくことです。同じ三泊でも、決まっている三泊と、あいまいな三泊では疲れ方がまるで違います
なぜ三日目に、消耗が跳ね上がるのか
まず、この境目の話をさせてください。ご相談を伺っていると、驚くほど多くの方が「三日目から急にしんどくなる」とおっしゃいます。理由は三つあると私は考えています。
ひとつめは、話題が尽きることです。一日目と二日目は、近況の報告で会話が成立します。三日目には報告する話が無くなり、そこから先は評価と詮索の時間になりやすい。仕事はどうなのか、結婚は、子どもは、いつまでその働き方をするのか。会話の中身が変わるのが、だいたいこのあたりです。
ふたつめは、生活リズムのずれが表面化することです。起きる時間、食事の時間、テレビの音量、風呂の順番。一泊なら合わせられます。二泊も何とかなる。三泊目になると、合わせ続けることに体が音を上げます。
みっつめは、役割が固定されることです。滞在が長くなるほど、実家の中でのかつての役柄に戻されます。手伝う人、聞く人、意見を言わない人。数日で三十年前の位置に戻ってしまうのは、多くの方が経験されていることです。
つまり、しんどいのはあなたが冷たいからではなく、滞在が長引くほど、そういう構造が働きはじめるからです。憂鬱の中身をもう少し細かく見たい方は、年末年始の帰省が憂鬱なあなたへ|消耗しない過ごし方に型別の分析をまとめています。
日数の目安|条件別の早見
条件によって、適した長さは変わります。目安として並べておきますね。
日帰り、または一泊
片道二時間以内で、用事が食事や顔見せだけの場合。関係が緊張しやすいご家庭では、この長さがいちばん安全です。短すぎると気にされる場合は、回数を増やして一回を短くする形にすると角が立ちません。
二泊三日(基本形)
片道三時間前後で、複数の親族に会う必要がある場合。到着日は移動で終わり、中日に用事をまとめ、三日目の午前に発つ。この形が、多くの方にとっていちばん収まりがいい長さです。
三泊四日
片道が半日近くかかる、飛行機や船を使う、あるいは法事や介護の相談など、腰を据えた用事がある場合。ただしこの長さになると、途中で外に出る時間を意識的につくらないと厳しくなります。
四泊以上
子どもの学校の長期休みに合わせる、家の片づけを手伝う、看病があるなど、明確な目的がある場合に限ります。目的がないまま長く滞在するのは、消耗の点でおすすめしません。
そして共通のコツを一つ。滞在の最終日は、午前中に発つ形にしてください。夕方の便にすると、最終日の午前がまるごと「何もない時間」になります。この時間帯に、いちばん重い会話が発生しやすいのです。
決める前の、4つの問い
日数を決めかねているなら、次の4つに答えてみてください。
- 去年(前回)の帰省で、しんどさが増したのは何日目の、どの場面でしたか
- その滞在中、一人になれる時間と場所はありましたか
- 帰ったあと、回復に何日かかりましたか
- 今回、その場所で「これだけは済ませたい」という用事は何ですか。それに必要な日数は何日ですか
3番は、見落とされがちですが大事な問いです。三泊して、帰ってから三日ぐったりしているなら、実質的にはその帰省に六日使っていることになります。日数を決めるときは、回復にかかる日数まで含めて考えてください。
4番で用事を先に決めておくと、日数は自動的に決まります。逆に、用事を決めずに「長めに取っておこう」とすると、余った時間が全部、消耗の時間になります。
「短い」と言われないための伝え方
日数以上に効くのが、この部分です。同じ二泊でも、伝え方で受け取られ方がまるで変わります。
まず、帰る日は行く前に伝えてください。到着してから言うと、交渉の余地があるように受け取られます。「◯日の朝に出ます」と、日程を伝える時点でセットにしてしまう。予約済みであることを添えると、話は早く終わります。
そして、理由は一つだけにします。理由を並べると、一つずつ潰されます。
そのまま使える言い方を挙げておきますね。
- 「今回は◯日の朝の便で戻ります。もう取ってあって」
- 「翌日から仕事なので、前日にいったん帰って準備したいんです」
- 「短くなってごめんね。そのぶん、次はもう少し早い時期に顔を出すね」
- 「今年は日帰りで。ゆっくりは、また落ち着いたときに」
三つめの言い方が、いちばん使いやすいと思います。短くすることへの謝罪と、次の約束をセットにする形です。相手が気にしているのは滞在時間そのものではなく、「大事にされていないのでは」という気持ちであることが多いからです。
義理のご実家への帰省で、そもそも行くこと自体がつらいという段階の方は、距離のつくり方を義実家に行きたくない・縁を切りたいあなたへ|心を守る距離の作り方にまとめていますので、そちらを先に読んでみてください。
滞在中に、日数以上に効く三つの工夫
決めた日数を無事に過ごすための工夫も、あわせてお伝えします。
外に出る用事を、一日一つ入れておく。買い物でも、墓参りでも、昔の同級生に会うでもいい。一日一回、家の外の空気を吸う時間があるだけで、滞在の体感は変わります。
寝る場所と荷物を、一か所にまとめておく。自分の荷物が散らばっていると、どこにいても落ち着きません。小さなことのようですが、これは効きます。
台所や後片づけを、避難路として使う。座敷に長く座っているほど、質問は飛んできます。手が動いている人には話しかけにくいものです。当日の立ち回りは正月の親戚に疲れる…当日を乗り切る立ち回り方に、席の選び方から質問の返し方までまとめてあります。
縁を整える視点——帰る日を決めるのは、あなたです
昔から、家に帰るという行為には、区切りをつける意味があるとされてきました。生まれた場所に一度戻り、また自分の暮らしへ帰っていく。行きの旅と、帰りの旅の両方が揃って、はじめて一つの節目になるという考え方です。
ご相談を伺っていて思うのは、帰省で消耗される方の多くが、帰る日を自分で決めていないということです。相手の期待に合わせ、なんとなく延び、なんとなく気まずくなって帰る。これは、区切りが誰のものかわからないまま終わってしまう形です。
日数は、多いほど親孝行というものではありません。二泊で気持ちよく過ごして、また来たいと思って帰るほうが、四泊して疲れ切って帰るより、ずっと縁は続きます。長さではなく、次があると思える終わり方かどうか。私はそちらを大事にしていただきたいと思っています。
年の変わり目に、家族との縁そのものを整え直したいという方は、七日間の作法を年末に縁を整える方法|大晦日までの7日間の作法にまとめました。帰省の前に読んでおくと、行く目的が定まりますよ。
なお、帰省を考えると動悸がする、眠れない日が続くという場合は、日数の調整より先に、医療機関やカウンセリングへの相談も検討してくださいね。
まとめ
- 消耗が跳ね上がる境目は、多くの場合三日目。基本形は二泊三日、条件に応じて増減させます
- 回復にかかる日数まで含めて考えると、適した長さが見えてきます
- 帰る日は行く前に伝え、理由は一つだけ。「短くてごめんね、次はもう少し早く」がいちばん使いやすい形です
実家や親族との関係で、毎年同じ場所が痛むなら、その縁の重さを一度確かめてみませんか。
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