手放す勇気が出ないとき|スピリチュアルな見方
スマホの連絡先を開いて、その名前のところで指を止める。削除、というボタンまであと一回。何度もここまで来て、何度も戻してきました。もう終わっている関係だとわかっている。続けても消耗するだけだともわかっている。それなのに、最後のひと押しができない。——「私には手放す勇気がない」。そう思ってしまう夜が、何度もあったのではないでしょうか。
こんにちは、縁を整える仕事をしている出雲です。まずお伝えしたいのは、あなたに足りないのは勇気ではない、ということです。先に結論をお伝えしますね。
- 手放せないのは意志が弱いからではなく、手放しを止めている恐れの中身がはっきりしていないからです
- 恐れは4種類あり、種類ごとに解き方が違います。ひとまとめにしているうちは、どれだけ気合いを入れても動けません
- 昔から手放しは「捨てる」ではなく「返す」と考えられてきました。この見方に変えると、勇気の必要量がぐっと減ります
この記事では、勇気を出す方法ではなく、勇気がなくてもできる段取りの話をします。
手放せないのは、勇気が足りないからではありません
まず、いちばん自分を責めやすいところをほどきます。
手放す勇気、という言い方には、ひとつの前提が隠れています。えいっと踏み切る強い気持ちがあれば手放せる、という前提です。だから、できない自分を「弱い」と採点してしまう。
けれど、実際に手放しを終えた方の話を伺うと、その瞬間に勇気を振り絞った方はほとんどいません。多くの方が、こうおっしゃいます。「気づいたら、もう戻さなくなっていた」と。
つまり手放しは、一回の決断ではなく、いくつもの小さな段階でできています。強い気持ちが要るのは、全部を一度にやろうとしたときだけなのですね。
そしてもうひとつ。踏み切れない状態には、たいてい理由があります。まだ整理しきれていないもの、確かめていない気持ち、決めていない条件。踏みとどまっているのは、あなたの中の慎重な部分が「まだ早い」と言っているからかもしれません。その声を弱さと呼ばないでください。
手放しを止めている、4つの恐れ
では、何が止めているのか。私が伺ってきた限り、だいたい次の4つに分かれます。自分がどれなのか、見てみてください。
恐れ1.失うことへの恐れ
手放したあと、そこに何もなくなるのが怖い。合わない相手でも、いないよりはましだと感じている状態です。この恐れが強い方は、手放す前に、空いた場所に置くものを決めておくと動けるようになります。順番の問題であって、勇気の問題ではありません。
恐れ2.確定してしまうことへの恐れ
手放すと、「あの関係は失敗だった」と認めることになる気がする。これは、時間や労力をかけた相手ほど強く出ます。10年続けたものを手放すのは、10年を否定するようで怖いのですね。この恐れには、後でお話しする「返す」という見方がよく効きます。
恐れ3.相手を傷つけることへの恐れ
こちらが離れることで、相手が困るのではないか、悲しむのではないか。優しい方ほど、ここで止まります。ただ、多くの場合、静かに頻度を落とす形なら、相手にとっては出来事にすらなりません。傷つけずに離れる方法は、たいてい存在します。
恐れ4.自分が悪者になることへの恐れ
周りにどう見られるか、薄情だと思われないか。実はこれが、いちばん多い恐れです。そして、いちばん現実には起きないことでもあります。人は、他人の人間関係の変化を、当人が思うほど長く覚えていません。
四つのうち、自分の恐れがどれかがわかると、それだけで体が軽くなります。ひとまとめの「怖い」は動かせませんが、名前のついた恐れには手が打てるからです。
スピリチュアルな見方——手放しは「捨てる」ではなく「返す」
ここで、昔から伝えられてきた見方をひとつご紹介します。
日本の各地に、縁は預かりものだという考え方があります。人との縁も、物も、役割も、自分のものとして所有しているのではなく、ある期間だけ預かっている。だから終わるときは、捨てるのではなく、返す——そういう捉え方です。
この見方に立つと、手放しの意味が変わります。捨てるのなら、価値がなかったと決めなければいけません。けれど返すのなら、価値があったことも、感謝も、そのまま持ったまま手を離せます。
先ほどの恐れ2、確定してしまうことへの恐れが強い方には、この見方がよく効きます。「あの10年は間違いだった」ではなく、「あの10年は預かっていた期間だった」。同じ出来事でも、置き場所がまるで変わりますよね。
そして、返すときに大切なのは、相手を悪者にしないことです。悪者にして終わらせると、こちらの中に感情だけが残ります。腐れ縁と呼ばれるような、切れそうで切れない関係の意味については腐れ縁のスピリチュアルな意味でお話ししました。
勇気がなくてもできる、手放しの5つの段取り
ここからが本題です。気持ちが決まっていなくても進められる形にしてあります。
- 手放したいものを、紙に一つだけ書きます。人でも、習慣でも、役割でも構いません。頭の中にあるうちは大きく見えるものが、文字にすると急に等身大になります
- その隣に、四つの恐れのうちどれが自分を止めているかを書きます。複数あってもかまいません。ここまでは、まだ何も手放していません
- いちばん小さな一手だけを実行します。返信を半日遅らせる、通知を切る、行くのをやめずに滞在を短くする。取り消せる程度の一手にしてください。取り消せる一手なら、勇気はほとんど要りません
- 一週間、自分の体の反応を見ます。軽くなったか、罪悪感が出たか、何も変わらなかったか。ここで判断材料が手に入ります。頭で考えるより、この一週間のほうが正確です
- 軽くなったなら、次の一手に進みます。重くなったなら、一度戻して構いません。戻すことは失敗ではなく、まだその時期ではなかったというだけです
この段取りの利点は、途中でやめてもいいことです。一気に断ち切る形にすると、失敗の可能性が怖くて始められません。取り消せる形にしておけば、今日からでも始められます。
区切りをつける作法として、紙に書いて手放す形を取りたい方は縁切りを紙に書くやり方に手順をまとめてあります。心の中で終わらせにくいものは、形にすると進みやすくなることがありますよ。
手放したあとに来る、揺り戻しの時期
もうひとつ、先にお伝えしておきたいことがあります。
手放したあと、多くの方が一度、揺り戻しを経験します。急に相手のことを思い出す、寂しくなる、自分の判断が間違っていた気がしてくる。早い方で数日後、多くは二週間から一か月あたりです。
これは、判断が間違っていたサインではありません。生活の中に空いた場所ができたときに、人が自然に感じる反応です。長く使っていた家具を処分したあと、その壁が妙に気になるのと似ています。
この時期にやってはいけないのは、寂しさに耐えかねて、手放したばかりのものへ自分から戻ることです。戻すなら、揺り戻しが過ぎてから決めてください。多くの方が、一か月ほどで「戻さなくてよかった」に変わります。手放したものが戻ってくるという話の受け止め方は執着を手放すと戻ってくるは本当かでお話ししました。
そして、この時期に気分の落ち込みが強く、眠れない日が続いたり、食欲が戻らなかったりする場合は、手放しの反動として片づけないでください。心療内科やカウンセリングなど、専門の相談先を頼ることも考えてみてくださいね。
縁切り・開運の視点——手放しは、勇気ではなく順番
縁を見つめてきた立場から、最後にお話しさせてください。
手放しがうまくいく方と、何年も同じ場所で足踏みする方の違いは、勇気の量ではありません。順番です。
うまくいく方は、空ける前に置くものを決めています。手放したあと何をするか、その時間をどう使うか、誰に会うか。決めているから、空いた場所が怖くない。逆に、何も決めずに空けると、空白に耐えられなくなって、元のものが戻ってきます。
昔から、手放したあとに流れが動くと言われてきたのも、この順番があるからだと私は捉えています。物を減らしたあとに変化を感じる方が多い理由は部屋の断捨離で運気が変わった人の共通点でもお話ししました。
そして、手放せない時期があってもいいのです。まだ握っていたいものは、握っていて構いません。ただ、握っている自分を責めるのだけは、そろそろやめてあげてください。責めながら握っているのが、いちばん消耗しますから。
まとめ
- 手放せないのは勇気不足ではなく、止めている恐れの中身が名前を持っていないからです
- 恐れは4つ。失うこと、確定すること、相手を傷つけること、悪者になること。名前がつくと手が打てます
- 昔から手放しは捨てることではなく返すこととされてきました。取り消せる小さな一手から始めてください
今あなたが握っているものが、手放しどきの縁なのか、まだ続く縁なのか。いちど確かめてみませんか。
手放しのあとの整え方は、LINEでも配信しています。