学校行事が気が重い|重さの正体別の軽くし方
配られたプリントを冷蔵庫に貼りながら、その日付を見て小さく息を吐く。まだ二週間も先なのに、もうその日の空気が浮かんでくる。誰の隣に立てばいいのか、何時に行けば目立たないのか、去年うまく話せなかったあの人がまた来るのか。子どもは楽しみにしているのに、自分だけがこんな気持ちでいることが、少し後ろめたい——学校行事が気が重いと調べてこられたあなたは、その冷蔵庫の前に立っているのではないでしょうか。
こんにちは、縁の整え方をお伝えしている出雲です。この相談で私がいつも思うのは、「行事が苦手」とひとくくりにしている限り、対策が決まらないということです。運動会と参観日と発表会では、重さの中身がまったく違います。
先に結論をお伝えしますね。
- 学校行事が気が重いのは、行事そのものではなく、その行事に含まれている特定の要素が重いのです
- 重さの正体は五つに分かれます。どれが自分の重さかを言い当てられると、手の打ちどころが決まります
- そして、行事は全部に出席しなくても構いません。その判断の仕方も最後にお伝えします
なお、当日の一時間をどう過ごすかという動線の話は、保護者会の気疲れを減らす当日の乗り切り方にまとめています。この記事は、その手前にある「行く前から重い」という感覚のほうを扱いますね。
その重さは、五つのどれですか
同じ「気が重い」でも、体のどこが重くなっているかは人によって違います。次の五つを読んで、自分の重さに近いものを探してみてください。
重さ1:人と会う重さ
保護者どうしの立ち話、去年の当番で気まずくなった相手、輪の中に入るかどうかの判断。行事の内容ではなく、そこに集まる人が重い。運動会の場所取りや、終了後の解散前の時間に、この重さがいちばん濃く出ます。
重さ2:見られる重さ
服装、年齢、下の子の様子、夫が来ているかどうか。誰も見ていないとわかっていても、視線の気配だけで消耗します。近年は写真や動画がその場で共有されるので、写り込みまで気になる方が増えました。
重さ3:我が子の姿を見る重さ
これは意外と語られませんが、かなり多いものです。徒競走で最後になるところを見たくない。合奏で我が子だけ音が遅れているのがわかってしまう。誰とも並んでいない休憩時間を見てしまう。行事は、ふだん見えない子どもの立ち位置が可視化される場です。それを見るのが怖い、という重さです。
重さ4:準備と役割の重さ
衣装づくり、お弁当、当番、片づけ、写真係。行事本体より前後の作業のほうが重いという方は、この型です。
重さ5:家族との調整の重さ
夫が来るか来ないか。義父母を呼ぶか。離れて暮らしている場合の席の問題。行事そのものより、その日をめぐる家族間の交渉が重い。この重さは、当日より前の一週間に効いてきます。
一つに絞れないときは、いちばん体が重くなる時間帯を思い出してください。前日の夜が重いなら1か2、当日の午前中なら3、準備期間が重いなら4、話し合いの場面が重いなら5です。
正体ごとに、手当ては違います
重さ1(人)に効くこと
到着時間を意図的にずらします。開始十分前に着いて、席を確保して座ってしまう。早すぎると待機時間が長くなり、遅すぎると全員の視線を受けて入ることになります。そして終了後は、輪ができる前に動くこと。解散直後の三分で立ち話の輪ができますから、その前に子どもの元へ行く動きを作っておくと自然に抜けられます。
重さ2(視線)に効くこと
服装は、去年と同じでいいのです。悩む時間そのものが消耗ですから、行事用の一式を決めておいて、毎回それを着る。手元に何か持っておくのも効きます。カメラ、飲み物、プリント。手が空いていると視線を集めやすく、自分の内面も点検しはじめます。人の目そのものが日常でも気になる方は、人の目が気になるのを直す方法もあわせて読んでみてください。
重さ3(我が子の姿)に効くこと
ここは工夫より、覚悟の置き方の話になります。見たくない場面が来ることを、先に自分に言っておいてください。「今日はたぶん、あの子は最後尾を走る」。予測していた出来事は、心の受け止め方が変わります。そして、その場で表情を作れなくても構いません。子どもが見ているのは、競技中のあなたの顔ではなく、帰り道の会話です。何位だったかに触れず、「お弁当のからあげ全部食べたね」でいいのです。
重さ4(準備と役割)に効くこと
引き受ける範囲を、頼まれる前に決めておきます。「当日の受付ならできるが、前日準備は行けない」。先に線を引いておくと、その場の空気に流されずに済みます。役割そのものの負担が続いているなら、PTAをやめたい人へに、休む・限定する・任期で区切るといった段階の選択肢をまとめています。
重さ5(家族の調整)に効くこと
当日の話ではなく、二週間前に決めてしまうことです。誰が来て、誰が来ないか。来ないことを責めない代わりに、当日は当てにしない。この決着を早めにつけておくと、当日の朝の空気が変わります。
前夜と当日の朝が、いちばん重い理由
行事そのものより前夜のほうがつらい、という声をよく聞きます。これは、あなたが弱いからではありません。
人は、これから起きることを頭の中で何度も再生します。しかも再生されるのは、たいてい最悪の場面です。誰にも話しかけられないところ、失敗するところ、視線が集まるところ。実際の行事は数時間ですが、頭の中の予行演習は何日も続きます。つまり、消耗の総量では、当日より前の期間のほうが大きいことがあるのですね。
ここで効くのは、考えないようにすることではなく、決めてしまうことです。前夜のうちに、次の三つだけ決めてください。
- 何時に家を出て、何時に帰るか
- どこに立つか、どこに座るか
- 帰りに何を買って帰るか
決まっていないことがあるから、頭が予行演習を続けます。三つ決まった時点で、再生はかなり止まります。
そして当日の朝、動悸や吐き気、涙が出るという状態が毎回続いているなら、気合いの問題として扱わないでください。前夜に眠れない日が重なっているときも同じです。心療内科やカウンセリング、スクールカウンセラーへの相談も、大切な選択肢です。保護者もスクールカウンセラーに相談できます。
行事は、全部に出席しなくて構いません
最後に、いちばん言っておきたいことです。
学校行事には、出席の重みが違うものが混ざっています。子ども本人が親の姿を探す行事と、そうでない行事があります。判断の目安は、この一つで足ります。
その日、子どもは客席を見るでしょうか。
運動会、発表会、卒業や入学の式。ここは、探す目があります。一方で、授業参観の一部、懇談会、バザーや親子行事の一部は、来ていないことに本人が気づかないこともあります。全部に同じ力を注ぐ必要はありません。行く行事を先に決めて、残りは軽く扱うと決めていいのです。
欠席するときの伝え方も、短くて構いません。担任へは「仕事の都合で伺えません」で足ります。理由を重ねるほど、交渉の材料になります。他の保護者に説明する義務はありません。「今回は行けなくて」で終わらせて大丈夫です。
そしてお子さんには、当日の朝ではなく前もって伝えてください。「今度の◯◯は行けないけど、終わったら話を聞かせて」。行けないことより、当日に知ることのほうが、子どもにはこたえます。
縁を整える視点|あの場は、一年ごとに組み替わります
縁を見つめてきた立場から、ひとつだけお話しさせてください。
行事の場で顔を合わせる人たちとの縁には、はじめから期限があります。クラス替えで一年、卒業で数年。長く見えても、区切りはいつか来ます。私はこれを、とても救いのあることだと思っています。
昔から、縁には旬がある、と言われてきました。今この一年だけ重なっている相手と、深く結び直そうとしなくていいのですね。会釈をして、必要な話をして、静かに帰る。それでその期間の縁は十分に果たされています。
それでも行事の日に消耗するのは、あなたが場の空気を細やかに読み取っているからです。その感度は、ふだんは人を助ける方向に働いているはずです。ただ、人が多くて情報の少ない場所では、感度が全開のまま削られます。周囲の気配を受け取りすぎてしまう方に向けて、人のエネルギーを受けやすい人の対策に、三つの層に分けた守り方をまとめました。行事の前後に使えるものもあるはずです。
まとめ|重さに名前がつくと、手当てが決まります
- 学校行事が気が重いのは、人・視線・我が子の姿・準備・家族の調整のどれかが重いからです
- 前夜が重いのは予行演習が続くから。出る時間、立つ場所、帰りに買うものの三つを決めると止まります
- 全部の行事に出なくて構いません。目安は「その日、子どもが客席を見るか」です
学校の場だけでなく、日常のあちこちで気を張り続けているとしたら、消耗はもう少し広い範囲で起きているのかもしれません。
人の多い場で消耗しない工夫は、LINEでもお届けしています。