独り言と言葉の力|4つの種類と整え方
洗い物をしながら「よし」と言っている自分に気づく。玄関で「あー、疲れた」と声に出してから、聞いている人が誰もいないことに気づく。そういえば、いつからこんなに独り言が増えたんだろう——。独り言と言葉の力について調べてこられたあなたは、そんなふうに自分の声にふと立ち止まったのだと思います。
こんにちは、縁の整え方をお伝えしている出雲です。最初にお伝えしておきます。独り言が増えること自体は、直すべき問題ではありません。一人暮らしの方、在宅で働く方、家族が独立したあとの方。話す相手の数が減れば、声は自分に向かいます。ごく自然なことです。
この記事でやるのは、やめさせることではなく、種類を分けることです。独り言には四つの種類があって、そのうち手を入れたいのは一つだけ。残りの三つは、むしろあなたを助けています。
- 独り言は、誰にも向いていないぶん、いちばん近くで自分が聞いています。だから言葉の力が強く出ます
- 四つの種類は、実況型・叱責型・反芻型・呼びかけ型。整えたいのは反芻型だけです
- 呼びかけ型は、意識して増やしていい種類です。具体的な言い方も並べます
- なお、独り言の増減より生活のしづらさのほうが気になるときは、医療機関やカウンセリングの窓口に相談することも検討してください
誰にも届かない言葉が、いちばん自分に届く
人に向けた言葉には、相手の反応という返しがあります。言い過ぎれば指摘され、優しく言えば表情が返ってくる。だから、多少ずれても修正がききます。
ところが独り言には、返しがありません。誰にも止められず、そのままの形で自分の耳に入ります。しかも一日に何度も、同じ言い回しで。人に向けた言葉づかいの整え方は言葉づかいと運気にまとめましたが、独り言はそれとは別の場所で働いています。誰にも届かない言葉が、いちばん近い相手に届き続けている。これが独り言の性質です。
言霊という考え方が古くからありますが、私は独り言こそ、その考え方がいちばん実感しやすい場所だと思っています。言葉に力があるかどうかを論じる前に、あなたはすでに、自分の声を一日中聞いているのですから。考え方そのものの整理は言霊の効果と運気をご覧ください。
種類1|実況型
「よし」「次はこれ」「あった」「はい、終わり」。
作業に合わせて出てくる、実況のような独り言です。これは手順を声で追いかけている状態で、集中を保つ働きがあります。減らす必要はまったくありません。むしろ、忘れ物や手順の抜けが減ることもあります。
人前で気になる方は、口を動かさず小さく息だけで言う形にすると、働きは残ったまま音が消えます。
種類2|叱責型
「なんでこうなるの」「馬鹿じゃないの、私」「またやった」。
失敗した瞬間に反射で出る、自分を叱る独り言です。これは減らしたいと思われがちですが、一発で出て終わるなら、そこまで害はありません。悔しさを外に出して、切り替えるための音になっているからです。
問題になるのは、この叱責が終わらずに次の種類へ移っていくときです。
種類3|反芻型
「あのとき、ああ言えばよかった」「あの人、なんであんな言い方したんだろう」「どうせ私なんて」。
同じ場面を何度も再生し、同じ台詞を何度も口に出してしまう独り言です。手を入れたいのは、この一つだけ。
反芻型がやっかいなのは、出るたびに記憶が濃くなることです。頭の中で思い出すだけなら薄れていく出来事も、声に出すと輪郭がはっきりします。一日に十回言えば、十回、その場面を体験し直しているのに近い。そして反芻の中でこぼれる言葉は、たいてい自分を値引きする型か、相手を決めつける型です。この二つの言い回しについては口に出さない方がいい言葉で詳しく扱いました。
整え方は三つあります。
- 出た回数を数える。やめようとせず、指を折るか、スマホにその日の数だけ記録する。数えるという行為が、再生を一度止めます
- 相手ではなく、場面に言い直す。「あの人は最低」ではなく「あの場面はきつかった」。人物を主語にすると反芻は続き、場面を主語にすると終わりやすくなります
- 一日一回、書き出す時間を決める。夜の五分でいいので、その日こぼした台詞を紙に移します。声で繰り返していたものを、紙という置き場所に移し替える作業です
書き出したページは読み返さなくて構いません。閉じて、別のことをしてください。
種類4|呼びかけ型
「よくやったね」「はい、いったん休憩」「おかえり」。
自分をねぎらったり、次の行動を促したりする独り言です。この型は、意識して増やしていいものです。
そのまま使える一言を並べておきますね。
- 起きたとき「今日はここまでやれば十分」
- 家を出るとき「いってきます」(誰もいなくても、声に出す)
- 失敗したとき「はい、次」
- 帰宅したとき「おつかれさま、よく帰ってきた」
- 寝る前「今日もよくやった」
嘘のない範囲に留めるのがコツです。つらい日に「幸せ」と唱えても、心が受け取りません。ねぎらいは、事実を言っているだけなので受け取れます。実際、あなたは今日も一日、やり過ごしてきたのですから。
一人で過ごす時間が長く、家の空気が重く感じられる方は、一人暮らしで気が滞るときの整え方も合わせて読んでみてください。
縁の視点|独り言は、家の空気をつくっている
出雲としてお伝えしたいことがあります。
昔から、人は誰もいない場所でも言葉を置いてきました。仏壇の前で今日の報告をする、出かける前に「いってきます」と言う、家に帰って「ただいま」と言う。聞き手がいないのに続けられてきたこれらの習わしは、相手のためではなく、その場と自分のためのものだったのだと思います。
あなたが一日にいちばん多くの言葉を注いでいる場所は、たぶん家の中です。その部屋には、あなたの声だけが積もっていきます。反芻の台詞ばかりが積もった部屋は重くなり、ねぎらいの一言が積もった部屋は、帰ってきたときに少しほっとする場所になります。掃除や換気と同じくらい、そこで交わされる言葉が場をつくっているのです。
だから、独り言をやめる必要はありません。積もらせるものを選べばいいのです。夜の言葉を整えたい方には、寝室の整え方で七日間の手順をご用意しています。眠る前の声は、その日いちばん深く残ります。
まとめ
- 独り言が増えるのは、話す相手が減ったときの自然な変化です。異常ではありません
- 四つの種類のうち、手を入れたいのは反芻型だけ。数える、場面に言い直す、夜に書き出す
- 呼びかけ型は意識して増やす。嘘のない範囲のねぎらいなら、心が受け取ります
独り言が重くなる時期は、たいてい人との関係が重い時期でもあります。流れを確かめてみませんか。