一人っ子はかわいそうと言われる時の受け流し方
親戚の集まりで、お茶を注いでいるときに言われる。「一人っ子はかわいそうよ、寂しいでしょう」。悪気のない顔で、笑いながら。その場では「そうですねえ」と返して、笑って、話は次に流れていく。けれど帰りの車の中で、その一言だけが後部座席から追いかけてくる——一人っ子はかわいそうと言われる、と検索してこられたあなたは、この帰り道にいるのではないでしょうか。
こんにちは、縁の整え方の専門家・出雲です。この相談で私がいつも感じるのは、しんどさが二つの層に分かれているということです。ひとつは、言ってくる相手への対応。もうひとつは、その言葉が入り込んでくる、あなた自身の中の不安。この二つは、まったく別の手当てが要ります。
先に結論をお伝えしますね。
- 「かわいそう」と言う人の多くは、あなたの家庭を見ていません。自分の物差しを声に出しているだけです
- ですから外側の対応は、説明ではなく、短く止めることです。理由を話す義務はどこにもありません
- そして内側の不安は、相手の言葉が作ったものではなく、もともとあった問いに火がついただけです。ここは別に扱います
はじめにひとつ、はっきり書いておきます。この記事は、きょうだいがいる家といない家に上下をつけません。そして、お子さんが一人である理由を問いません。望んでそうした方も、望んでも叶わなかった方も、事情があってそうなった方も、この記事の読み手です。理由は、この先どこにも要りませんので、安心して読み進めてください。
「かわいそう」と言う人は、あなたの家庭を見ていません
まず、外側の層から片づけていきます。
この言葉を投げてくる人には、だいたい三つの型があります。誰が言っているのかを見分けると、受け取り方が変わります。
型1:自分の家の形を、正解として話している人
きょうだいがいる家庭で育った人、きょうだいを育てた人が、自分の経験をそのまま一般論として口にしています。悪気はほとんどありません。ただ、この人が語っているのは、あなたの子の話ではなく、自分の家の思い出です。
型2:会話の穴を埋めるために言っている人
何か返さなければと思って、手近な決まり文句が出ています。天気の話と同じ扱いで出た言葉なので、こちらが本気で受け取ると、言った本人がいちばん驚きます。
型3:踏み込む口実にしている人
「次の予定は?」「一人じゃかわいそうよ」。心配の形をとりながら、家庭の事情を聞き出そうとしている人がいます。これがいちばん刺さります。ただし、この型でも狙いはあなたの家庭の改善ではなく、話題としての情報です。
三つに共通しているのは、どれもあなたのお子さんを見ていないということです。この子が今どんな顔で笑っているか、何が好きか、どんな友達がいるか。何も知らない人が、家の形だけを見て言葉を出しています。ですから、内容を検討する必要がありません。
その場で使える、返しの言葉
ここでのコツはひとつです。説明しないこと。理由を話すと、たいてい次の質問が来ます。相手は情報を得たので、話が伸びるのですね。
軽く流したいとき
「そうですかねえ」
同意も否定もしません。相づちの形をした終わりの合図です。
もう少しはっきり止めたいとき
「うちはこれで楽しくやっていますよ」
自分の家の話に一度だけ引き戻して、そこで終える。反論ではないので角が立ちません。
事情を聞き出そうとされたとき
「いろいろありまして」
これで十分です。この一言は、何も明かさずに会話を閉じられる、とても優秀な言葉です。詳しく続けたくなっても、続けないでください。
しつこく繰り返されたとき
「ご心配ありがとうございます」
そして、同じ言葉を穏やかに繰り返します。新しい理由を足すほど、交渉の材料が増えます。理由を足さず、同じ一文を返すのがいちばん通ります。
子どもが横にいるとき
「この子は毎日、忙しくて楽しそうですよ」
ここだけは、少し力を入れて返してください。子どもが聞いている場では、「かわいそう」を親が受け流したかどうかが、そのまま子どもの中に残ります。同意も謙遜もしないでほしい場面です。
相手が義理の家族で、繰り返し言われるとき
返しの言葉だけでは足りないことがあります。育児への口出しには型があり、型ごとに効く返し方が違いますので、義母の育児への口出しへの返し方を参考にしてください。夫を間に立てる頼み方もまとめています。
外の言葉が刺さるのは、内側に問いがあるからです
ここから、二つめの層に移ります。
同じ「かわいそう」でも、まったく刺さらない日と、夜まで残る日があります。この差は、相手の言い方ではなく、あなたの中の状態で決まっています。
言葉が刺さるのは、あなたの中にすでに問いがあるからです。この子は寂しくないだろうか。私が先にいなくなったあと、この子は一人になるのだろうか。あの選択は正しかったのだろうか。誰にも聞かれていないのに、ふとした夜に浮かぶ問いです。
大事なのは、この問いを持っていること自体が、あなたの落ち度ではないということです。むしろ、子どものこの先を長い時間で考えているからこそ浮かぶ問いですね。ただ、この問いは他人の一言で急に開くので、まるで相手のせいで生まれたように感じます。実際には、火をつけられただけです。
そして、こちらの層は返しの言葉では治まりません。別の扱い方が要ります。
内側の不安を、扱いやすい大きさにする
不安が大きいままだと、どこから手をつけていいかわかりません。三つに分けてみてください。
今の寂しさへの不安
この子は今、寂しいのだろうか。これは、確かめられる種類の不安です。答えは目の前にあります。学校での様子、家での機嫌、友達の名前が何人出てくるか。心配が強い方は、子どもの友達関係が心配なときの線引きに、見守るか動くかの判断の仕方をまとめました。将来への不安
親の介護や見送りを、この子が一人で背負うのではないか。この不安は現実的なので、消そうとするより、準備で小さくするほうが向いています。書き残しておくこと、頼れる先を今のうちに調べておくこと、専門家に相談できる窓口を知っておくこと。手を打てる不安は、手を打つと静かになります。選択への不安
あのときの判断は正しかったのか。これは答えの出ない種類の問いです。答えの出ない問いは、解こうとすると深夜に居座ります。「これは答えが出ない問いだ」と名前をつけて、そこで置いてください。名前がつくと、問いは急に小さくなります。
そのうえで、ひとつだけ前提を置かせてください。子どもの育ちを決めるものは、家の中の人数だけではありません。安心して帰れる場所があるか、話を聞いてもらえるか、家の外に居場所があるか。そういう要素のほうが日々効いてきます。きょうだいがいる家にはその家の課題があり、一人の家にはその家の課題がある。どちらが上ということではないのですね。
なお、この不安が長く続いて眠れない、涙が止まらない、気分の落ち込みが二週間以上続いているというときは、性格の問題として抱え込まないでください。心療内科やカウンセリング、自治体の子育て相談窓口への相談も、大切な選択肢です。誰にも言えないまま抱えている方には、子育ての孤独が誰にも言えないときの頼り先の地図もあわせて読んでみてほしいと思います。
お子さん本人が言われたときは
いつか、子ども自身が言われる日が来ることがあります。学校で、親戚から、あるいは通りすがりに。
そのとき親がすべきことは、否定でも励ましでもなく、まず受け取ることです。
「そう言われたんだ。どんな気持ちだった?」
ここで「気にしなくていいよ」と先に言うと、その子は感じたことを引っ込めます。気持ちを出してもらってから、家の考えを一言だけ渡してください。「うちはうちで、楽しくやってるよね」。
そして、家の外に居場所を増やしておくことは、これとは別に効きます。いとこ、近所の子、習い事、地域の集まり。年齢の違う子と過ごす時間があると、家の中の人数の話は、その子の中で小さくなっていきます。
縁を整える視点|家族の形に、正しい形はありません
縁を見つめてきた立場から、最後にお話しさせてください。
昔から、家族は縁の集まりであって、人数で決まるものではないと言われてきました。血のつながった人が何人いるかより、その子の周りに、名前を呼んでくれる人が何人いるか。私は、そちらのほうが縁の豊かさだと思っています。
そして、他人の家の形に口を出す人は、たいてい自分の中に片づいていないものを抱えています。その言葉は、あなたに向けて出ているようで、実は本人の中の何かに向いています。受け取らなかった言葉は、相手のところに残りますよ。
同じ相手から繰り返しこういう言葉が来て、会うたびに消耗しているなら、その関係はもう季節が変わっているのかもしれません。合わなくなった相手との距離をどう変えていくかは、波長の合わない友達を手放す方法にまとめました。切るのではなく、静かに薄めていく手順です。
あなたの家の縁は、あなたと、あの子と、そのまわりの人たちで作られています。人数を数える人の目で、自分の家を見ないでくださいね。
まとめ|外の言葉と、内の不安を分けましょう
- 「かわいそう」と言う人は、自分の家の形を語っています。あなたの子を見ていません
- 返しは説明しないこと。「そうですかねえ」「いろいろありまして」で十分です
- 刺さる日は、内側に問いがある日です。今の寂しさ・将来・選択の三つに分けて、扱える大きさにしましょう
言われるたびに消耗しているとしたら、その相手との関係全体に疲れがたまっているのかもしれません。今の状態を、いちど確かめてみませんか。
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