お中元・お歳暮をやめたい|3つのやめ方と文例
六月の終わりに、去年の控えを引っ張り出す。この人にはこれくらい、あちらには少し上を。手帳に書いた名前を数えながら、合計金額を暗算して、そっと閉じる。もう何年も会っていない方、送るたびにきっちり同じくらいのものが返ってくる方、そもそもなぜ始まったのか思い出せない方。「これ、いつまで続くんだろう」——お中元やお歳暮をやめたいと調べてこられたあなたは、その手帳の前にいるのではないでしょうか。
こんにちは、縁の整え方をお伝えしている出雲です。結論からお伝えしますね。贈答は、やめて構いません。そして、やめ方には三つの型があります。
- なぜやめにくいのか。その正体は「返礼の連鎖」という仕組みにあります
- やめ方は、一度で終える型・段階的に減らす型・別の形に変える型の三つ。相手によって使い分けます
- 添え状の文面と、やめたあとに起きることへの対処までお伝えします
やめにくいのは、あなたが優柔不断だからではありません
お中元やお歳暮が年賀状よりやめにくいのには、はっきりした理由があります。返礼の連鎖に入っているからです。
贈り物を受け取った側には、返さなければという気持ちが生まれます。返せば、今度は相手側に同じ気持ちが生まれる。こうして往復が固定されると、どちらかが止めるまで永久に続きます。しかも、止めるほうが「先に降りた人」になってしまうので、どちらも言い出せない。多くのご家庭で、双方が内心では負担に思いながら十年以上続いている、というのはよくある話です。
もうひとつ、金額の記憶という要素もあります。贈答には、去年いただいたものの相場が影響します。だから年々下げにくく、上げるほうへ引っ張られやすい。ここが、はがき一枚で済む年賀状との決定的な違いですね。
つまり、あなたが決められずにいるのは意志の弱さではなく、止めにくい仕組みの中にいるからです。そして、その仕組みから降りることを、相手はたいてい恨みません。多くの場合、内心では助かったと感じています。
やめ方には三つの型があります
自分と相手の関係に合う型を選んでください。ひとつに統一する必要はありません。相手ごとに型を変えて構いませんよ。
型1:一度で終える
最後の贈り物に添え状をつけて、これで最後にする旨を伝える形です。いちばんはっきりしていて、翌年から気に病まずに済みます。長く続いていて、相手も年配で、双方に負担がある関係に向いています。
型2:段階的に減らす
まずお中元をやめて、お歳暮だけにする。翌年、お歳暮も見送り、暑中見舞いや寒中見舞いのご挨拶だけに変える。二年ほどかけて自然に終える形です。角の立ちにくさでは、この型がいちばん穏やかです。関係を続けたい相手に向いています。
型3:別の形に変える
品物のやり取りをやめて、季節のご挨拶状に切り替える形です。「これからはお便りでご挨拶させてください」と伝えます。縁は残したいけれど、金額の往復だけを止めたいときに向いています。
型を決めるときの目安は、負担の中身がどこにあるかです。金額が重いなら型2か型3、季節ごとの手配や気疲れが重いなら型1が向いています。
なお、時期の作法については、お中元は概ね夏、お歳暮は年末に贈られるものとされていますが、地域によって時期の幅があると言われています。贈る時期を外してしまった場合は、暑中見舞い・寒中見舞いといった名目に変えて贈るのが一般的です。ご自分の地域の慣習は、身近な年長の方に一度尋ねてみると安心です。
そのまま使える、添え状と伝え方の文例
品物に一筆添えるだけで、受け取り方はまるで変わります。長い必要はありません。
型1・一度で終えるとき(一般的な相手へ)
平素より格別のお心遣いをいただき、ありがとうございます。
私事ではございますが、身辺の整理を少しずつ進めており、勝手ながら本年をもちましてご挨拶の品を控えさせていただくことにいたしました。
長年にわたるご厚情に、あらためて御礼申し上げます。
お品は控えさせていただきますが、これからも変わらずお付き合いいただけましたら幸いです。
型1・目上の方や年配のご親族へ
いつも温かいお心遣いを賜り、心より感謝申し上げます。
このたび、年齢を重ねましたことを機に、季節のご挨拶の品を控えさせていただくことといたしました。
これまでいただきましたご厚意は、忘れることはございません。
今後はお便りにてご挨拶させていただければと存じます。どうぞご自愛ください。
型2・段階的に減らすとき
いつもお心遣いをいただき、ありがとうございます。
このところ、季節のご挨拶は少しずつ控えていこうと考えております。
行き届かないことがございましても、どうぞご容赦ください。
これまでのお心遣いに、深く感謝申し上げます。
型3・別の形に変えるとき
平素よりお世話になっております。
今後は、季節のご挨拶状にてお気持ちをお伝えさせていただければと存じます。
品物のやり取りは控えさせていただきますが、変わらぬお付き合いをお願い申し上げます。
親しい相手に、口頭やメッセージで伝えるとき
いつもありがとう。実はうち、季節の贈り物を今年から控えることにしたの。
これまで気にかけてもらって本当に嬉しかったです。
やり取りはやめるけど、これからも変わらずよろしくね。
文面に共通するコツは三つあります。理由を相手ではなく自分側に置くこと。相手との縁を否定しないこと。そして感謝と、これからの一言を添えることです。同じ考え方は、年賀状をやめたい人へにも詳しく書いています。あわせて整理すると、年に二度の気重が一度に片づきますよ。
相手別に、気をつけたいこと
親の代から続いている贈答。ここは自分だけで決めず、一度親に伝えておくほうが穏やかです。「もうやめようと思って」ではなく、「そろそろ形を変えようと思っているの」と切り出すと、話が対立になりにくくなります。
義理のご実家や、義理の親族。ここは事情が複雑になりやすいところですね。夫婦のどちらの側の付き合いなのかを整理して、その側の人から伝えるのが基本です。義理の関係で消耗が続いている方は、義母のストレスが限界のときの距離の置き方もあわせてご覧ください。
仲人や恩人にあたる方。長年の慣例で続いていることが多く、型2か型3が穏やかです。何年目で終えるかについて確たる決まりはありませんが、区切りのよい年に添え状で伝える方が多いようです。
仕事関係。勤務先に贈答の方針がある場合があります。個人の判断で動く前に、社内の慣行を確認しておくと安心です。
やめたあとに起きることと、その対処
先方から届いてしまったとき。行き違いはよくあることです。放置せず、お礼状を出してください。そのうえで「こちらからはご挨拶を控えております」と一行添えれば、翌年から自然に止まります。返礼の品を送り返すと、かえって連鎖が続きます。
理由を尋ねられたとき。詳しく説明しないのが正解です。「いろいろ整理していて」「年齢とともにね」で止めます。理由を細かく話すほど、「じゃあこの場合は」という交渉の余地が生まれます。
家族に反対されたとき。「失礼にあたる」と言われることがありますね。そのときは、やめるのは品物であって関係ではない、という点だけを伝えてください。全部やめる必要もありません。三人だけ残す、という形でも十分です。
寂しさが湧いてきたとき。長く続けた習慣が抜けるときには、少し胸が痛む季節が来ます。それは間違いの証拠ではなく、体から習慣が抜けていく感覚です。数年経つと、驚くほど気にならなくなりますよ。
縁を整える視点|手をかけられる縁の数には、限りがあります
昔から、贈り物は品物ではなく気持ちを運ぶものだと言われてきました。私はこの言葉を、少し厳しい意味でも受け取っています。気持ちが伴わないまま義理で送られる品は、運ぶものが空のまま行き来している状態だからです。
三十軒に義理で送り続けるより、三軒に心を込めた一言を書くほうが、縁は温かく育つのではないでしょうか。手をかけられる縁の数には、どうしても限りがあります。やめることは、縁を粗末にすることではなく、手をかける先を選び直すことなのですね。
そして、季節の贈答をやめた方から、よく同じ話を伺います。「六月と十二月が、こんなに静かだったのかと驚きました」。年に二度、暦に縛られていた重さがなくなると、その季節の使い方そのものが変わります。一年分の縁をまとめて整えたい方には、年末に縁を整える方法で大晦日までの手順をご用意しています。親戚付き合い全体を見直したい方は、親戚付き合いをやめたい人へもご覧くださいね。
まとめ|やめるのは品物であって、縁ではありません
- やめにくいのは返礼の連鎖という仕組みのせい。降りるほうが薄情なのではありません
- やめ方は三つ。一度で終える・段階的に減らす・ご挨拶状に変える。相手ごとに使い分けて構いません
- 添え状の要点は、理由を自分側に置く・縁を否定しない・感謝と今後の一言を添える
贈答の整理をきっかけに、ほかの付き合いも見直したくなったなら、それは縁の節目かもしれません。
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