お金の話ができない関係|4つの理由と近づき方
何年も一緒にいて、恋の話も家族の愚痴も、体調のことだって話してきた相手。それなのに、お金のことだけは、どちらも触れないまま来ています。旅行の予算を決めるときも、割り勘の内訳も、お互いに探り合うような数秒があって、結局どちらも本音を言わない。仲が悪いわけではないのに、この話題のときだけ空気が硬くなる——。お金の話ができない関係について調べてくださったあなたは、その硬さの理由を知りたいのだと思います。
先に、この記事の結論をお伝えします。
- お金の話ができないのは、信頼が足りないからではありません。話題そのものが特殊な構造を持っているからです
- 話せなくなる理由は4つ。どれなのかで、近づき方が変わります
- お金の話には階段があります。いきなり本題に行かず、四段に分けて上がると、たいていの関係は少し話せるようになります
この記事は、無理に打ち明け合うことを勧めるものではありませんよ。話さないまま続ける選択も、ちゃんと入れてお話しします。
話せないのは、心を開いていないからではありません
まず、いちばんよくある誤解をほどかせてください。お金の話ができない相手に対して、「私はこの人に心を開けていないのかもしれない」と感じている方がとても多いのですが、これは順番が違います。
お金の話が特別に難しいのは、この話題だけが、話した瞬間に上下が発生してしまう構造を持っているからです。恋の話や体調の話は、打ち明けても対等でいられます。ところが収入や貯金の話は、口にした瞬間に、多い側と少ない側という位置が生まれる。そして一度生まれた位置は、なかったことにできません。
だから、私たちは無意識に避けます。避けているのは相手ではなく、対等さが崩れることのほうなんですね。これは臆病さではなく、関係を守ろうとする働きです。あなたが黙ってきたのは、その関係を大事にしてきた証拠でもあるのですよ。
話せなくなる4つの理由
ご自身のケースがどれにあたるかを見てください。ここが決まると、次にやることが決まります。
1.金額差が見えてしまうことを、どちらかが恐れている
収入、家賃、実家からの援助、貯蓄。差が見えると、これまでの気楽さが変わってしまう気がする。差がある側もない側も、同じくらいこれを恐れています。多い側は気を使わせたくないと思い、少ない側は下に見られたくないと思う。両方が黙るので、話題は永遠に開きません。
2.過去に一度、失敗している
以前この話をして、微妙な空気になった。あるいは貸し借りでこじれた。一度の経験があると、脳はその話題を危険物として扱います。実際にはその一回きりだったとしても、二度目の勇気は出にくくなります。
3.相手が、話題を閉じる人である
金額の話になると笑ってごまかす、話をそらす、「そんなの気にしないでよ」で終わらせる。これは相手の側にある癖で、あなたの伝え方の問題ではありません。この場合、こちらが工夫しても開かないことがあります。
4.お金の話は下品、という前提がどちらかにある
育った家で、お金の話をあからさまにするのは品がないと教えられてきた。この前提を持っている人にとって、金額の話題を出すことは、マナー違反に近い行為です。悪気はなく、心のシャッターが自動で下りている状態です。家族から金銭感覚を裁かれてきた方は、家族に金銭感覚を否定されるときの線の引き方も合わせて読んでみてください。この前提は、たいてい家の中で作られています。
お金の話には、四段の階段があります
ここからが本題です。お金の話ができない関係で、いきなり「実は私、そんなに余裕がないの」と本題に行くと、たいてい失敗します。段を飛ばしているからです。次の順番で、一段ずつ上がってみてください。
一段目|世の中の話をする
自分の財布の話は一切しません。物価が上がったね、あの店値上げしたね、電気代すごいことになってるね。これだけです。ここで相手がどんな反応をするかを見ます。乗ってくるなら、二段目に進めます。話題を変えるようなら、四つ目の理由に当てはまる相手かもしれません。
二段目|仕組みの話をする
金額ではなく、やり方の話に移ります。「最近、家計簿のアプリ変えたんだ」「ふるさと納税って結局どうしてる?」。ここは金額を出さずに済むうえ、情報交換の顔でできるので、対等さが崩れません。この段が、いちばん多くの関係で止まっている場所です。
三段目|自分の枠の話をする
はじめて自分の事情を出しますが、収入ではなく上限を話します。「私、外食は月に二回までって決めてるんだ」「今年は旅行を一回にしようと思って」。ここでのポイントは、相手にどうしてほしいかを言わないことです。自分の決めごとを共有するだけにとどめると、相手は責められた感じを受けません。
四段目|目の前のやり取りの話をする
ここでようやく、二人のあいだの具体的な話ができます。「今回の旅行、予算これくらいでいける?」「割り勘、飲んでない分だけ引いてもらってもいい?」。ここまで来ると、以前なら気まずかった一言が、事務連絡として通るようになります。
三段目まで上がるのに、数か月かかることもあります。急がなくて大丈夫です。会計のたびに感じるモヤモヤの正体を先に整理しておきたい方は、奢り・割り勘のモヤモヤの正体を読んでおくと、四段目で何を言えばいいかがはっきりします。
相手が階段を上がってこないとき
一段目や二段目で何度も止まる相手がいます。そのときの見立てを、三つに分けてお伝えします。
- 相手にとって、今そこが触れられたくない時期である。収入が下がった、支払いが重なっている。時期の問題なので、半年空けてもう一度だけ試すと変わることがあります
- 相手は誰に対しても話さない人である。あなただけが避けられているわけではありません。この場合は、話さない前提で付き合い方を設計するほうが早いです
- 話題にすると、こちらが不利になる関係である。金額の話が出るたびに優劣が持ち込まれるなら、階段を上がること自体を勧めません
3つ目に心当たりがある方は、友達と金銭感覚が合わないときの向き合い方のタイプ分けを見てみてください。話せるようにすることより、距離のほうを先に考えていい段階かもしれません。
話さないまま続ける、という選択もあります
ここは、はっきりお伝えしておきたいところです。お金の話ができる関係が上等で、できない関係が未熟、ということはまったくありません。
大事なのは、話せるかどうかではなく、話せない状態のままであなたが損をしていないかどうかです。話さなくても、旅行の予算がいつも自分の水準に合っている、立て替えが偏っていない、断っても関係が変わらない。そうであれば、その関係は話す必要がないだけです。
反対に、話せないせいで、いつもあなたが飲み込む側になっているなら、そこは開ける必要があります。判断の目安は簡単です。この一年で、お金のことで我慢した回数を数えてみてください。片手で足りるなら、今のままで大丈夫です。両手を超えるなら、一段目から始めてみましょう。
縁を整える視点——沈黙の話題は、関係の弱いところに置かれます
ここからは、縁を整える立場としての見方をお伝えします。
私は、どの関係にも「触れない話題」が一つや二つあるものだと思っています。そして、その触れない話題は、たいていその関係のいちばん薄いところに置かれます。お金の話が置かれているということは、その関係が金額に触れると揺らぐ、と二人ともわかっているということです。
ただ、これは悪いことばかりではありません。触れないことで守れている関係も、確かにあるからです。問題は、避け続けた話題が、いつのまにか会計や旅行や贈り物といった具体的な場面に染み出して、そのたびに小さな我慢を生むときですね。染み出しが始まったら、話題を開けるサインだと私は考えています。
昔から、お金は納得と一緒に動くときに軽く、遠慮と一緒に動くときに重さを残すと言われます。話さないまま出し続けたお金は、金額にかかわらず、少しずつ心に沈殿していきます。お金そのものとの向き合い方から整え直したい方は、お金の巡りを良くするスピリチュアル習慣も覗いてみてくださいね。
まとめ
- 話せないのは信頼不足ではなく、お金の話だけが上下を生む構造を持っているから
- 理由は4つ。金額差への恐れ・過去の失敗・相手の癖・下品という前提
- 階段は四段。世の中の話、仕組みの話、自分の枠の話、二人のやり取りの話の順に上がる
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