新月と縁|始まりの日とされてきた理由
カレンダーの隅に、小さな黒い丸が印刷されている。今夜は新月らしい。ベランダに出て見上げても、月はどこにもない。何も見えない夜なのに、「新月は始まりの日」だと聞く。何が始まるというのだろう——そんな静かな疑問を抱えて、ここへいらしたのではないでしょうか。
こんにちは、縁の整え方の専門家・出雲です。この記事は、新月に何かをする手順の記事ではありません。その手前にある「なぜ新月が始まりの日とされてきたのか」という背景と、そこから見えてくる縁の始まりという観点についてお話しします。
先に結論をお伝えします。
- 新月が始まりとされたのは、月を数える昔の暦で、新月の日が毎月の一日目だったからです
- もうひとつの理由は形です。見えない状態から、必ず満ちていく。その姿に始まりが重ねられてきました
- そして縁の始まりも、新月に似ています。始まった瞬間には、まだ誰の目にも見えないのです
新月とは、月が見えなくなる日のこと
まず、空で起きていることから確かめましょう。
新月は、月が太陽と同じ方向に来る日です。私たちから見ると、月は太陽と一緒に昼の空に出ていて、光っている面は向こう側を向いています。だから夜空に月が見えない。欠けて消えたのではなく、位置の問題で見えないだけなのですね。この日を境に、月は細い三日月から少しずつ満ちていきます。
ひとつ、実利のある豆知識を。新月の夜は月明かりがないので、一年でいちばん星がよく見える夜のひとつです。せっかく月のない夜ですから、部屋の電気を消して、数分だけ星を見てみる。それだけでも、この日を覚えておく価値はありますよ。
なぜ「始まりの日」とされてきたのか
理由は大きく二つあると言われています。
一つ目は、暦の仕組みです。日本で長く使われていた旧暦は、月の満ち欠けをもとに日を数える暦でした。新月の日が毎月の一日、つまり「ついたち」です。ついたちという言葉自体、月が立つ——月立ちから来ていると言われています。毎月の始まりが、文字どおり新月だったわけですね。
二つ目は、形です。何も見えないところから、欠けることなく満ちていく十五日間が始まる。この姿に、人は種まきや出発を重ねてきました。だから新月には始めたいことを、満ちきった満月には手放したいことを、という言い方が生まれたのだと思います。
ただし、これは断定できる話ではありません。新月をどう扱うかは文化や流派でさまざまですし、月と人の営みの関係も、はっきり証明されているわけではありません。月の満ち欠けと心の関係について語られてきたことと分かっていないことは、月の満ち欠けは心に影響するのかで正直に整理しています。私自身は、新月を「効果のある日」ではなく「区切りとして使いやすい日」と受け取っています。月に一度、必ず巡ってくる区切りだからです。
縁の始まりも、見えないところから始まります
ここからが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。
振り返ってみてください。いま大切な人との縁は、いつ始まったでしょうか。連絡先を交換した日でしょうか。それとも、たまたま同じ場所に居合わせた日、共通の知人が名前を口にした日でしょうか。
縁の始まりは、後からしか分からないことがほとんどです。始まった瞬間には、何も見えていない。何年も経ってから「思えばあの日が始まりだった」と気づく。新月とまったく同じですね。空に何も見えていないその日に、次の満月へ向かう動きはもう始まっています。
だから、「出会いがない」「何も始まっていない」と感じている時期を、空白だと決めつけないでほしいのです。見えないことと、始まっていないことは、別のことです。新月の夜は、そのことを月に一度思い出させてくれる日だと私は思っています。
新月の日にできる、小さな三つのこと
では、この日を区切りとして使うなら何をするか。大がかりなことは要りません。
- カレンダーの新月の日に印をつけて、月に一度の区切りとして予定に入れます。続けるコツは、この一手間だけです
- 迎える前に、器をひとつ空けます。連絡先でも物でも予定でも、「もう終わっている」と分かっているものをひとつだけ手放します
- 始めたい縁を、一行だけ書きます。誰かの名前でも、「こういう人と出会いたい」でも構いません。書いた紙は見えるところに貼らなくて大丈夫です
願い事をきちんと書いてみたい方は、書く時間帯や数、言葉の選び方に少しコツがあります。新月の願い事の書き方で、手順と例文を具体的にまとめていますので、実践はそちらでどうぞ。
縁切り・開運の視点——空けた場所にしか、新しい縁は入りません
縁を見つめてきた立場から、ひとつだけ。
新しい縁を願う相談を受けるとき、私はいつも先に、いま抱えている縁の話を聞きます。というのも、新しい始まりを妨げているのは、出会いの少なさよりも、終わっているのに手放せていない縁であることが多いからです。器がいっぱいのままでは、新月が何度巡ってきても、入る場所がありません。
暦の順番も、実はそうなっています。満月で手放し、新月で始める。先に空けて、それから迎える、という並びです。もし手放したい縁がはっきりあるなら、満月の夜の作法を満月の縁切りのやり方で七日間の手順としてまとめています。手放すものが特に思い当たらない方は、満月の日にやってはいけないことから読むほうが軽くて合っているかもしれません。
まとめ
- 新月が始まりの日とされたのは、月を数える暦で新月が毎月の一日だったから。そして見えない状態から満ちていく形のためです
- 縁の始まりも新月に似て、始まった瞬間には見えません。見えない時期は空白ではないのです
- 新月は効果を期待する日ではなく、月に一度の区切りとして使うと続きます
新しい縁を迎える前に、いま手放したほうがいい縁が残っていないか、一度確かめてみませんか。
毎月の新月・満月の日は、LINEでもお知らせしています。