職場の不倫が気まずい|毎日会う関係の整え方
朝、エレベーターの扉が開く。同じ階のボタンが押されていて、そこに立っているのがその人だとわかった瞬間、呼吸の仕方を忘れる。何事もないように「おはようございます」と言う。声が少し高い気がして、それにまた動揺する——。会議、休憩室、廊下ですれ違う三秒。一日のうちに何度も、その三秒がやってきます。
こんにちは、縁の整え方をお伝えしている出雲です。この記事は、あなたの関係を裁くために書いていません。ただ、ひとつだけ最初にお断りしておきます。ここには、隠し通す方法は書きません。それは結局あなたを守らないからです。書くのは、あなたが明日も出勤して、仕事を続けていくための整え方だけです。
- 職場の関係が特別につらいのは、終わっても勤務が続く、という一点にあります
- 気まずさを減らす鍵は、態度を変えることではなく、態度を一定に保つことです
- 周囲は、あなたが思うより「もう気づいている」場合があります。確かめに行かないこと
- 立場の差を使われた関係なら、それは恋愛の話ではなく、相談窓口の話です
職場という場所が、この関係を特別に難しくする三つのこと
一般的な距離の取り方は、この関係には半分しか効きません。理由は三つあります。
ひとつ目は、逃げ場がないことです。連絡を絶っても、会議で顔を合わせます。ブロックしても、明日の朝には同じフロアにいます。距離の中でいちばん動かしにくい層が、固定されてしまっているのですね。
ふたつ目は、終わっても関係が終わらないことです。普通の別れなら、会わなくなることで時間が働いてくれます。ここでは、終わった翌日から「元」の相手と業務連絡を交わすことになる。傷が乾く前に、毎日開かれる状態が続きます。
三つ目は、第三者の目があることです。二人の関係が、二人だけのものでいられない。誰かの視線ひとつ、席替えひとつが、意味を持って見えてきます。この過敏さは、あなたが神経質なのではなく、環境がそうさせているのです。
逃げられない相手との距離を、接触・情報・感情・期待の四つに分けて考える方法は、顔を合わせる関係の距離の取り方にまとめてあります。距離の一般論はそちらに譲りますね。ここからは、この関係に固有の話をします。
明日の朝から、態度を「一定」に保つ
気まずさを減らそうとして、多くの方が態度を変えます。急によそよそしくする、逆に不自然に明るくする。これが、いちばん目立ちます。
人が違和感を覚えるのは、距離そのものではなく変化です。だから目指すのは、冷たくすることでも親しくすることでもなく、誰に対しても同じ態度でいることです。
挨拶は、全員に同じ声量で
その人にだけ小さくなる、その人にだけ丁寧になる。どちらも差として見えます。フロア全体に向けて言うつもりで、同じトーンを保ってください。会話は業務の言葉だけで完結させる
雑談を挟まないと決めるだけで、やり取りは驚くほど短くなります。冷たくはなりません。ただ業務になるだけです。二人だけになる状況を、あらかじめ作らない
残業の時間帯、休憩室に入るタイミング、外出の同行。予定の段階でずらせるものは、ずらしておく。その場で断るより、最初から重ならないほうが自然です。業務の記録は、いつもどおり残す
やり取りをメールやチャットに残すのは、隠すためではありません。あとから業務内容を説明できる状態を保つのは、どんな相手に対しても同じことです。表情は、口角より視線で整える
笑顔を作ろうとすると不自然になります。相手の目ではなく、資料や画面に視線を置いて話す。それだけで、体の緊張はかなり抜けます。
この五つは、関係を隠す技術ではありません。あなたの一日から、消耗する三秒を減らすための工夫です。職場で距離を置くときの一般的な進め方は、職場で距離を置きたいけど気まずいで詳しくお話ししています。
周囲は、もう気づいているかもしれません
これは、お伝えしておいたほうがいいことです。職場という場所は、視線の量が多い場所です。何時に誰が席を立ったか、誰と誰が同じ日に休んだか。悪意がなくても、人はよく見ています。
だから、こう考えておいてください。気づかれていない前提で動くのではなく、気づかれていても仕事が成立する状態を作る、と。前者は綱渡りですが、後者は足場です。
そして、噂を確かめに行かないでください。「何か言われてる?」と誰かに聞くこと自体が、情報を渡す行為になります。噂は、反応がないと燃料が切れます。逆に、こちらが動くと燃料が入ります。
同僚の視線や陰口が気になって仕方ないときの心の置き方は、職場で陰口を言われてる気がするにまとめました。確かめないという選択が、なぜ有効なのかを書いています。
もし直接何かを聞かれたら、否定も肯定もせず、話題を業務に戻すのがいちばん静かです。長く説明するほど、話は続いてしまいます。
立場の差があったなら、それは別の話です
ここは、しっかり分けてお伝えします。
もし相手が上司や評価者で、断りにくい状況があったなら。誘いを断ったあとに仕事の扱いが変わったなら。関係を続けるかどうかで、評価や配属をほのめかされたなら。それはもう、あなたが自分を責める種類の話ではありません。職場のハラスメントとして扱われる問題です。
そのときにできることを挙げます。まず、日時と場所、言われたこと、そのときの状況を、できる範囲で記録しておくこと。次に、社内のハラスメント相談窓口やコンプライアンス窓口へ相談すること。社内に相談しづらい場合は、各都道府県労働局の総合労働相談コーナーが、無料で、予約なしで相談を受けています。会社を通さずに使える窓口です。
「自分にも非があるから相談できない」と考えてしまう方がとても多いのですが、立場を使われたかどうかは、それとは別に判断されるべきことです。判断に迷うなら、その判断も含めて窓口で相談していいのです。法律に関わることは、弁護士や法テラスにご相談ください。
心身に不調が出ているなら、産業医や心療内科も選択肢です。眠れない、出勤前に体が動かない。そういう状態は、我慢して続けるものではありません。
異動、部署替え、転職という選択肢
環境そのものを変えることを、逃げだと思わないでください。
同じフロアにいる限り、感情の距離を広げるには限界があります。異動希望を出す、フロアや担当を変えてもらう、在宅の比率を上げる。理由を詳しく説明する必要はありません。「業務の幅を広げたい」「通勤を見直したい」で通ることがほとんどです。
もちろん、希望が通るとは限りませんし、転職はもっと大きな決断です。ただ、選択肢として持っているかどうかで、日々の重さは変わります。逃げられないと思っている状態が、いちばん人を消耗させるのですね。
縁を整える視点から|同じ場所にいる縁は、形を変えて残ります
昔から、縁は切るものというより、結び方を変えるものだと言われてきました。職場の縁は、切ろうとしても切れない代わりに、結び方を変える余地が大きい縁でもあります。
私がご相談を受けてきた中でも、同じ職場に相手がいる方は、みなさん「早く終わらせたい」と同時に「終わったあとが怖い」とおっしゃいます。その怖さの正体は、たいてい、気まずさそのものではなく、気まずさに耐える自分の姿を毎日見ることへの疲れです。
だから整えるのは、相手との関係ではなく、あなたの一日のほうです。朝の三秒をどう通過するか。昼をどこで食べるか。帰りにどこへ寄るか。相手が動かなくても、あなたの一日の設計は変えられます。設計が変われば、同じフロアにいても、感じる距離は確かに変わっていきます。
気力が落ちきっているときは、その設計すら重く感じるはずです。そんなときは運気の停滞から抜け出す方法で、生活の側から立て直す順番をお話ししていますので、そちらから始めてみてください。
まとめ|隠すのではなく、仕事が成立する状態を作る
- 職場の関係が特別につらいのは、終わっても勤務が続くからです
- 態度を変えるより、誰に対しても一定に保つほうが目立ちません
- 噂は確かめに行かないこと。反応が燃料になります
- 立場を使われた関係なら、社内窓口や労働局の総合労働相談コーナーへ
明日の朝も、エレベーターの扉は開きます。それでも、通過の仕方は変えられますよ。
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