収納を増やすと散らかる本当の理由
ホームセンターで、揃いの収納ケースを四つ買って帰った日のこと。床に出ていたものを次々に入れて、棚に並べて、ようやく片づいたと思った。それから半年。今、そのケースの上には、また別のものが積まれていないでしょうか。
こんにちは、縁の整え方をお伝えしている出雲です。この記事は、収納用品を勧める記事ではありません。むしろ逆で、なぜ増やすほど散らかるのかを、時間を追ってお話しします。
先にお伝えしておきますね。
- 収納を増やすと散らかるのは、器が増えると、置ける総量の上限が上がるからです
- そして器は、決断を先送りできる場所でもあります。増やすほど、先送りできる量が増えていきます
- 押し入れに詰め込みすぎないほうがよいという言い伝えは昔からあります。この記事では、その言い伝えと、実際に起きること(湿気・探し物・判断の疲れ)を並べます
- 着地は、収納を買うことではなく、総量を決めること。その決め方をお渡しします
買った日から半年後までに、何が起きるか
買った日。床とテーブルの上に出ていたものが、ケースの中に収まります。景色が変わるので、達成感があります。見落とされるのは、この日に減った量がゼロだということ。移動しただけで、家の中の総量は変わっていません。
一週間後。「とりあえず入れておく場所」ができたぶん、要るのか要らないのかという判断をしなくてよくなります。判断が楽になれば、新しいものが入ってきても止まりません。
一か月後。蓋つきのケースは中が見えません。見えないものは、家にないのと同じです。ここで、持っているのに買い足すという出費が始まります。同じ電池、同じ黒い靴下。
三か月後。ケースが満杯になり、入りきらないものがその上に積まれ始めます。ここで多くの方が、収納が足りない、と判断します。
半年後。ケースをもう二つ買いに行く。ここが分かれ道です。買えば、また買った日に戻り、同じ半年を繰り返します。
見ていただきたいのは、この半年のあいだ、あなたが一度も怠けていないということです。むしろ、片づけようとして動いた結果です。意志の問題ではないのですね。片づけに手をつける気力が出ないときは、部屋が汚いと気力が出ないとき|最小の一歩を先にどうぞ。
なぜ、器を増やすと中身が増えるのか
家の中のものの量は、置ける場所の量に合わせて増えていきます。よく知られた言い方ですが、なぜそうなるのかまで語られることは、あまりありません。
理由は、収納が「決めなくてよくする装置」だからです。
目の前にものがあるとき、人は判断を迫られます。使うのか、使わないのか。残すのか、手放すのか。この判断はけっこう疲れる作業です。ところが、空いている器があると、その判断をしなくて済みます。入れておけばよいからです。
つまり、器の空きは、決断の先送り券です。券を増やせば、先送りの回数が増える。先送りが増えれば、家の中には決めていないものが積み上がっていく。散らかっているように見えるのは、その決めていないものが、器からあふれて表に出てきた状態なのですね。
入ってくる量を止めたい方は、捨てられない・物が減らない6つの理由へ。この記事は、器の側の話です。
では、器のほうをどうするか。順に見ていきましょう。
それでも収納を足していい場合
全部だめだと言いたいわけではありません。次の二つに当てはまるときは、足す価値があります。
使うものが、使う場所から遠い所にしまわれているとき。爪切りが寝室にあり、掃除道具が別の階にある。これは量の問題ではなく位置の問題です。使う場所のそばに小さな置き場を一つ作ると、出しっぱなしが減ります。
守るために要るとき。書類、薬、季節の家電、湿気で傷むもの。これは収納というより保護です。
逆に、次の三つが済んでいないうちは、買いに行かないでください。
- 家の中に空の器がないか探す。押し入れの奥、クローゼットの上、ベッドの下。たいてい三つは出てきます
- 今ある器の中身を、いったん出して見る。中身を見ずに増やすと、同じものが二か所に分かれます
- 蓋を外すか、ラベルを貼る。見えない状態のまま増やすと、一か月後にまた分からなくなります
総量の決め方|数ではなく、場所で決める
「三十着まで」のように数で決める方法もありますが、続きにくいですね。数えるのが面倒だからです。私がお勧めしているのは、場所で決める形です。
- 種類ごとに、置き場所を一か所だけ決めます。同じものが二か所にあると、量が把握できません。まずは、文具・薬・電池・レジ袋あたりから
- その場所に入る分を上限にします。棚の一段、引き出し一杯、箱ひとつ。家具ではなく、面や区画で決めるのがコツです
- 上限を超えたら、器を増やすのではなく入れ替えます。一つ入れたら一つ出す。この一文が、この記事でいちばん大事なところです
- 平らな面は収納ではないと決めます。床、テーブル、調理台、洗面台、椅子の座面。ここが空いていると、総数が変わらなくても部屋は明らかに軽くなります
- 決めきれないものは保留の箱へ。ただし箱は家に二つまで。三つ目を作りたくなったら、それはいちばん古い箱を開ける合図です
上限を決めると、買うときの判断も変わります。買う前に、どこに入れるかを言えるかどうか。言えないものは、家に入れる前に止まります。
すでに買ってしまった収納は、どうすればいいですか
ここまで読んで、家にあるケースを見て気まずくなった方もいるかもしれません。捨てなくて大丈夫ですよ。使い方を変えるだけで、器は味方になります。
まず、蓋を外してください。中身が見える状態にするだけで、器は「先送りの場所」から「置き場」に変わります。積み重ねて使っていたものは、積むのをやめて横に並べます。上に載せられる面をなくしておくと、新しい山ができません。
次に、一つだけ空にします。中身を別の器に寄せて、空のケースを一つ作ってください。そして、その空の器を目に入る場所に置いておきます。次に収納を買いたくなった日、まずこれを思い出せるからです。
余った器は、押し入れの奥にしまわないでください。しまうとまた忘れて、買い足す側に回ります。人に譲るか、思い切って手放すか、決められないなら中身を入れず空のまま見える場所に。空いている器が見えていることが、いちばんの歯止めになります。
場所別|上限を決めやすい順番
いきなり家全体を決めようとすると力尽きます。決めやすい場所から順に並べておきますね。
一番目は、洗面所と薬箱。数が数えられて、期限があるものが多いので、判断に迷いが出にくい場所です。ここで一度「入る分だけ」を体験しておくと、あとが楽になります。
二番目は、文具と電池と充電ケーブル。同じものが家の二か所以上にあることが多い代表格です。集めてみると、たいてい必要量の三倍は出てきます。
三番目は、キッチンの保存容器とレジ袋。増えやすく、減らしても困りません。
最後にまわすのが、服と本と思い出の品です。ここは判断に感情がついてくるので、疲れているときに手をつけないでください。前の三つで「決める」ことに慣れてからで十分間に合います。
一か所終えるごとに、その場所の上限を紙に一行書いておいてください。「電池は引き出しの右半分まで」というように。書いておかないと、三か月後には上限を決めたこと自体を忘れてしまい、また同じ場所からあふれ始めます。紙は冷蔵庫の横でも、スマホのメモでも構いません。
昔から言われてきたことと、実際に起きること
押し入れや納戸にものを詰め込みすぎないほうがよい、という言い方は、昔から広く伝えられてきました。淀みを作らないという考え方ですね。方位の見方や、何をどこにしまうべきかは流派によって食い違いますので、細部は参考程度に受け取ってください。
実利の面では、はっきりしています。ぎっしり詰めた場所は空気が動きません。動かない場所には湿気がこもり、においとカビが出ます。壁から数センチ離す、月に一度は扉を開けて風を通す。それだけで、しまってあるものの傷み方が変わります。
そして、探し物の時間です。ものが多い家では、一日のうち探している時間がじわじわ増えます。目に入る情報の量が増え、小さな判断の回数も増える。夕方に決断が雑になるのは、意志の弱さではなく、その積み重ねのほうだと私は思っています。手放したあとの変化については、部屋の断捨離で運気が変わった人の共通点にまとめました。
縁を整える視点|先送りできる場所は、人にもあります
収納は、決めない自由を買う装置だとお話ししました。実は、人付き合いにも同じ器があります。
「いつか会おう」のまま置かれている関係。既読をつけたまま返していない連絡。断ってはいないけれど行くとも決めていない誘い。どれも、捨ててはいないし、暮らしの中にも入れていない。心の中の器に、とりあえず入れてある状態ですね。
そして器のほうも、増やすことができてしまいます。グループを一つ増やす、連絡の手段を一つ増やす。器が増えれば、決めないまま抱えていられる関係の数も増えます。だから、いつも何かに追われているような感じが消えない。
ものの上限を決められた方は、たいてい人のほうにも上限を置けるようになります。逆でも構いません。どちらか動かしやすいほうから、一つだけ決めてみてください。流れごと立て直したいときの順番は、運気をリセットする方法|停滞を断ち切る5ステップに手順としてまとめてあります。
まとめ
- 収納を増やすと散らかるのは、器の空きが決断の先送りを可能にするからです
- 買った日から半年で一巡します。三か月目の「収納が足りない」という判断が、分かれ道です
- 上限は数ではなく場所で決めます。一つ入れたら一つ出す。平らな面は収納にしない
買い足す癖と、お金の使い方の癖は、たいてい同じところから来ています。
暮らしとお金の整え方は、LINEでも少しずつお届けしています。