相談の切り出し方|例文と相手の選び方
トーク画面を開いて、「ちょっと聞いてほしいことがあって」まで打つ。そのまま十秒見つめて、全部消す。相手だって忙しい、こんな話をされても困るだろう、と考えているうちに夜が更けていく——。相談の切り出し方の例文を探してこられたあなたは、その画面を何度も開いては閉じているのではないでしょうか。
こんにちは、縁の整え方をお伝えしている出雲です。この記事は例文を並べますが、順番を一つ変えます。文面より先に、二つの問いに答えていただきます。切り出せない理由の多くは、言葉ではなく、その二つが決まっていないことにあるからです。
- 切り出す前に決めるのは、誰に話すかと、相手に何をしてほしいかの二つです
- 相手選びには向き不向きがあります。優しい人が、いつも適任とはかぎりません
- 「何をしてほしいか」を先に伝えると、相談は驚くほど短く済みます
- 場面別の例文を並べます。深刻な悩みは、友人ではなく専門の窓口へ向けるほうが早い場合もあります
問い1|この話は、誰に向いているか
相談が重くなるのは、内容のせいではなく、相手が合っていないときです。同じ話でも、聞く準備のある人に渡せば軽く着地し、そうでない人に渡すと二人とも消耗します。
相談相手に向いているのは、次のような人です。あなたの話をさえぎらずに最後まで聞ける。あなたの選択を採点しない。聞いた話を他の人に流さない。そして、自分の似た経験に置き換えてしまわない。
向いていないのは、こういう場合です。あなたの悩みの当事者と近い関係にある人。すぐに解決策を出したがる人。話を聞いて自分の武勇伝に切り替える人。あなたに強い期待を持っている人。優しくても、あなたを心配しすぎて動揺してしまう人も、この回はいったん外してください。相手の動揺を、あなたが慰める展開になりがちだからです。
そして大事なのが、一人に全部を背負わせないことです。愚痴を聞いてもらう相手、事実関係を整理してくれる相手、制度や手続きを知っている相手。この三つを同じ人にお願いすると、その人との関係だけが急に重くなります。友人関係が消耗していく理由の一つが、ここにあります。相手との相性の変化については波長が合わなくなった友達を手放す5つの手順にも書きました。
問い2|相手に、何をしてほしいのか
相談がこじれる場面の多くは、こちらは聞いてほしかっただけなのに、相手が助言を始めてしまうところで起きます。これは相手が悪いのではなく、要求が伝わっていないだけです。
相手に求めるものは、だいたい三つに分かれます。
一つ目、聞いてほしいだけ。整理したいので、口に出す場所がほしい。
二つ目、意見がほしい。自分の見方が偏っていないか、別の角度から見てほしい。
三つ目、動いてほしい。判断してほしい、間に入ってほしい、手続きを教えてほしい。
この三つのどれかを、最初の一言に入れておく。それだけで相談はうまくいきます。「答えを出してほしいわけじゃなくて、聞いてもらえたら助かる」と先に言われた相手は、安心して黙って聞けます。何を求められているか分からないまま聞くのは、実はかなり難しいことなのですよ。
場面別・相談の切り出し方の例文
友人にLINEで切り出すとき
「ちょっと聞いてほしい話があるんだけど、今週どこかで時間ある? 解決してほしいというより、口に出したいだけの話です」
前置きを長くしないのがコツです。相手にとっては、内容より所要時間と重さのほうが判断材料になります。返事がすぐ来なくても、追いの連絡はしないでください。数日置いてから、別の相手を考えるほうが早いこともあります。
職場の上司に相談するとき
「業務のことでご相談したいことがあります。十五分ほど、今週のどこかでお時間をいただけませんか。現状の整理はしてありますので、判断だけお願いできればと思います」
仕事の相談は、時間・目的・こちらの準備状況の三点を先に示すと通ります。人間関係の相談の場合は、「業務に影響が出ている部分について」と切り出すと、私情の話に見えずに済みます。職場の悩みの型ごとの対処は職場の人間関係の悩み完全ガイドにまとめました。
同僚に、こっそり相談したいとき
「変なこと聞いてもいい? 誰にも言わないでほしいんだけど」
この一言は、相手に守秘を求める形なので、使う相手は選んでください。職場で内緒話を託せる相手が思い当たらないなら、社内の相談窓口や産業医、公的な労働相談の窓口という選択肢があります。
家族や親に切り出すとき
「相談したいことがあるんだけど、二十分くらい時間もらえる? 怒らずに最後まで聞いてくれるとありがたい」
家族への相談は、途中で意見が入ることが多いので、最初に「最後まで」を条件として置いておきます。伝えるのは事実から。感情から入ると、話がこちらの気持ちの妥当性の議論に流れやすくなります。
パートナーに切り出すとき
「今日じゃなくていいんだけど、話したいことがあるの。いつなら落ち着いて話せそう?」
その場で始めず、時間を予約する形にします。疲れているとき、テレビがついているとき、外出の直前は避けてください。同じ話でも、着地の仕方がまるで変わります。
専門の窓口に初めて連絡するとき
「はじめてご連絡します。職場の人間関係のことで悩んでいて、どこに相談すればよいかも分からない状態です。話を聞いていただけますか」
うまくまとめてから連絡しようとしなくて大丈夫です。整理できていないという事実そのものが、伝えるべき内容になります。相談員の方は、その状態の人から話を聞くことに慣れていますよ。
一度断られた相手に、もう一度頼むとき
「この前は忙しいところにごめんね。今回は短い話で、返事もいらないから、読むだけ読んでもらえたら嬉しいです」
負担の上限を先に示す形です。返事がいらないと言われた相手は、かえって返事をくれることが多いものです。
切り出したあとに気をつけたいこと
- 全部を一度で話しきろうとしない。長い相談は、聞く側の集中が三十分ほどで尽きます
- 助言をもらったら、その場で反論しない。「そういう見方もあるね、考えてみる」で受け取っておく
- 同じ話を同じ人に何度も繰り返さない。三度目からは、相手ではなく話す場所を変える段階です
- 相談したことを、後日ひとこと報告する。「あのあと、こうしてみた」の一行が、次に話しやすくします
- 相手の助言どおりにしなくてよい。決めるのはあなたで、相手もそれを分かっています
深刻な悩みは、友人ではなく専門の窓口へ
ここは、はっきりお伝えしておきたいところです。
暴力やハラスメント、お金や契約のトラブル、離婚や相続、そして心身の不調。この四つは、親身な友人よりも、その分野の窓口のほうが早く助けになります。友人に相談してはいけないという意味ではありません。ただ、友人が持っているのは共感であって、制度や手続きの知識ではないのですね。共感を求めるなら友人、対処を求めるなら窓口、と分けておくと、どちらの関係も守れます。
職場のハラスメントなら、社内の相談窓口や労働局の総合労働相談コーナー。法律やお金が絡むなら、法テラスや弁護士会の相談。近隣や身の危険に関わることなら、警察相談専用電話の#9110。眠れない日が続く、食欲がない、涙が止まらないといった状態が二週間以上続いているなら、心療内科やカウンセリングにつながってください。我慢の限界がどんな形で表れるかは、我慢しすぎる人の限界サインにまとめています。
介護のように、一人で抱えると出口が見えなくなる負荷については、家族に切り出す前に地域包括支援センターへ連絡するほうが、話が早く進むこともあります。今日つながれる相談先は介護の限界を一人で抱えるあなたへにまとめました。
窓口に相談することは、大げさなことではありません。相談されるために置かれている場所ですから、遠慮の要らない相手なのですよ。
縁を整える視点|言葉にして外に出すと、荷物の形が見える
昔から、胸のうちにためたものは澱のようにたまっていくと言われてきました。私は、相談することの効き目の半分は、相手の答えではなく、自分の口から出た言葉を自分の耳で聞くところにあると考えています。
話しているうちに、「あ、私はここが嫌だったんだ」と気づくことがありますね。あれは、相手が引き出したというより、外に出したことで荷物の形が見えたのだと思います。抱えているあいだは、重さは分かっても形は分かりません。
だからこそ、渡す相手は選んでください。あなたの話を受け止めたあとで、あなたの選択を静かに見守れる人。そういう相手が一人いるだけで、抱えているものの重さはかなり変わります。そして、話したあとにいつも疲れが増えるなら、その相手はこの件の相談相手ではなかった、というだけのことです。相手を責める必要も、自分を責める必要もありませんよ。
まとめ|文面より先に、相手と目的を決める
- 決めるのは二つ。誰に話すかと、聞いてほしいだけか・意見がほしいか・動いてほしいか
- 最初の一言に、所要時間と求めるものを入れる。それだけで相談は軽くなる
- 一人に全部を背負わせない。深刻な内容は、共感の相手ではなく専門の窓口へ
誰にも相談できないまま抱え込んでいる状態が続いているなら、その負担の大きさを一度確かめてみませんか。
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