子どもが学校に行きたがらない|今日からの順番
朝の支度の途中で、ランドセルの前に座り込んだまま動かなくなる。お腹が痛いと言うけれど、熱はない。時計の針だけが進んでいって、あなたの中では二つの声がぶつかっています。ここで休ませたら癖になるのではないか。でも、この顔のまま送り出していいのか——子どもが学校に行きたがらない朝は、たった十分のあいだに、親のほうが何度も揺れますね。
こんにちは、縁の整え方の専門家・出雲です。このご相談でまずお伝えしているのは、今朝のうちに正解を出さなくていい、ということです。先に結論をお伝えしますね。
- 今朝の判断は、行かせるか休ませるかの二択ではありません。休むことは、はじめから選択肢のひとつとして並んでいます
- 原因を今日中に突き止めようとしないでください。理由を言葉にできないまま行けなくなる子は、とても多いのです
- 動く順番は、今日・今週・二週目以降と、時間で区切ると迷いが減ります。相談できる窓口は、思っているよりずっとたくさんあります
この記事は、学校へ戻すためのものではありません。あの子とあなたが、この時期を消耗しきらずに渡っていくための、時間の使い方の話です。
今日の朝|決めるのは、一日ぶんだけ
朝に迷いが大きくなるのは、目の前の一日ではなく、その先の何百日ぶんを一度に決めようとしているからです。ここで休ませたら明日も明後日も行かなくなるのでは、という計算が始まると、判断が重くなりすぎて動けなくなります。
ですから、口に出す言葉も一日ぶんにしておきましょう。「今日は休もうか」。これで十分です。もう行かなくていいよ、でもなく、明日は行きなさいよ、でもありません。前者はあとで撤回しづらくなり、後者は休んでいる一日を宿題つきの時間に変えてしまいます。
そして、体の訴えを疑わないでください。腹痛、頭痛、吐き気。行きたくない気持ちが体に出ることは、大人にもよくあります。仮病かどうかを見極めようとする視線は、子どもに驚くほど正確に伝わります。「お腹が痛いんだね」と、そのまま受け取ってしまうほうが早いのです。
行くか休むかの、あいだの形もあります。遅れて行く、午前だけ行く、保健室や別室に行く、送っていって門のところで決める。全部か無かで考えないと、選べる幅が広がります。学校への連絡は「体調がすぐれないので今日はお休みします」で通ります。休んだ日に、そのぶん勉強しなさいと条件をつけないでください。休むハードルが上がるだけです。
そして、朝の問い詰めはしないほうがいいのです。「どうして行きたくないの」は、いちばん答えにくい問いです。理由が言えるくらい整理できていたら、その子はもう自分で相談しています。答えの出ない問いを投げられると、言えない自分が悪いというもう一つの荷物を持つことになります。
この一週間|原因を探すより、事実を書き留める
一日を越えたら、次の一週間は観察の期間にします。ここで多くの親御さんが原因探しに全力を注ぐのですが、急ぐことには落とし穴があります。原因が一つとはかぎらないこと。小さな出来事が重なってある朝あふれた、という形のほうがずっと多いのです。そして、探している親の緊張が、そのまま家の空気になること。毎日「今日は話してくれるかな」という目で見られると、子どもは家でも気を張ります。
ですからこの一週間にやるのは、探すことではなく書き留めることです。
- 日付と、朝の様子(何時に起きたか、どこで止まったか)
- 体の訴え(どこが、いつから、いつ治まったか)
- 本人が言った言葉を、そのまま
- その日どうしたか(休んだ、遅れて行った、途中で帰った)
- 夜の睡眠と食事、休日の様子
一週間分たまると、輪郭が見えてきます。特定の曜日に偏っていないか。ある教科や行事の前だけなのか。休日はけろりとしているのか。前に毎日出ていた友達の名前が、いつから出なくなったか。
この記録は、真相を当てるためのものではありません。担任やスクールカウンセラーに相談するとき、いちばん強い材料になるからです。なんとなく行きたがらなくて、と話すのと、日付と事実を並べて話すのとでは、動き方がまるで違います。相談の順序と伝え方は担任の先生と合わないときの相談の順序にまとめました。
二週目以降|学校の外にも、道はあります
一週間を過ぎても状況が変わらないとき。ここからは、選択肢そのものを増やす段階です。
各自治体には教育支援センター(適応指導教室と呼ばれることもあります)が置かれていて、学校に行きづらい子が日中を過ごし、学習や相談を受けられる場になっています。多くの場合、在籍する学校に籍を置いたまま利用でき、通った日が出席の扱いになる制度もあります。窓口は学校か、自治体の教育委員会です。
そのほかに、民間のフリースクール、不登校の子に合わせた教育課程を組む学びの多様化学校、オンライン学習を出席として扱う仕組みなどがあります。どれが使えるかは自治体や学校で違いますから、ここは調べるより聞くほうが早いのです。「今の状態で使える居場所や学びの選択肢には、どんなものがありますか」。担任でも、スクールカウンセラーでも、教育委員会の相談窓口でも構いません。出席日数や進級の不安も、学校に直接ぶつけてください。ネットで見かける他校の事例は、あなたのお子さんの学校には当てはまりません。
相談できる窓口を、先に知っておく
抱え込む時間が長いほど、選べる幅は狭く見えてきます。先に地図を持っておきましょう。
担任の先生
伝えるのは記録した事実と、お願いをひとつだけ。「しばらく無理に迎えに来ないでいただきたい」など、行動でお願いすると通りやすくなります。スクールカウンセラー
多くの学校に配置されていて、子ども本人も保護者も予約して相談できます。まとまっていない段階の話で構いませんし、担任に言いにくい内容も扱えます。教育支援センター(適応指導教室)・教育委員会の教育相談窓口
学校の中で話が進まないとき、第三者として整理を手伝ってくれる場所です。訴え出る場所というより、選択肢を教えてくれる場所だと考えてください。24時間子供SOSダイヤル
文部科学省の相談窓口で、電話番号は0120-0-78310です。24時間、子ども本人も保護者も無料で相談できます。夜中に眠れないまま抱えているときにも使えます。いじめが疑われるとき
本人が特定の子の名前を出して怖がっている、持ち物がなくなる・壊れる、体に傷がある、お金の減りが早い。こうした事実があるなら様子見の段階ではありません。学校にはいじめへの対応について定められた手順があります。事実を記録して担任に伝え、動きがなければ学年主任、教頭・校長へ。相手のお子さんや相手の親に直接連絡するのは避けてください。教室に戻ってその空気を引き受けるのは、あなたではなくお子さんです。詳しくは子どもの友達関係が心配なときの見守り方と動き方に。小児科などの医療機関
腹痛や頭痛が続いている、眠れない、食べられない、体重が変わった。こうしたときは心の問題として片づけず、小児科に相談してください。起立性調節障害のように、朝に起きられない状態を説明できる不調もあります。医師から説明がつくと、家の中の緊張がふっとゆるむこともよくあります。
やらないほうがいいこと、四つ
甘えという言葉を使うこと。この一語は、子どもが自分の状態を説明する言葉を奪い、次から不調を隠させます。他の子やきょうだいと比べること。「◯◯くんはちゃんと行ってる」は励ましとして届きません。比べる言葉の影響は子どもを比べてしまう罪悪感のほどき方に。引きずってでも連れて行くこと。次の朝の抵抗が強くなり、何より家が安全な場所ではなくなります。そして、親のほうが原因を断定して、そこだけを攻めること。実際は別のところにあった理由が見えなくなります。
あなた自身のことも書き添えます。眠れない、涙が止まらない、落ち込みが二週間以上続くときは、医療機関やカウンセリング、自治体の子育て相談窓口を使ってください。限界のサインは我慢しすぎる人の限界サインに。あなたが持ちこたえられることが、この時期のいちばん大きな支えになります。
縁を整える視点|場との縁にも、合う時期があります
昔から、人と人の縁だけでなく、人と場の縁にも旬がある、と言われてきました。同じ教室でも、去年は水が合っていて今年は合わない。そういうことが起こります。ですから私は、学校を休むことを撤退だとは思っていません。合わない流れの中でいったん足を止めて、体勢を立て直している時間だと捉えています。
それから、子どもの不安はいちばん近くにいる人にそのまま移ります。あなたが朝から張り詰めていると、その緊張は玄関の空気になります。近い相手の状態を受け取りすぎてしまう方は人のエネルギーを受けやすい人の対策に、三つの層に分けた守り方をまとめました。家の温度を保つのも、まぎれもなくあなたの仕事のひとつです。
まとめ|今日・今週・二週目以降、と区切って進みましょう
- 今朝決めるのは一日ぶんだけ。遅れて行く・保健室・午前だけ、という中間の形もあります
- 一週間は原因探しではなく記録の期間に。日付と事実が、相談のいちばん強い材料になります
- 二週目以降は選択肢を増やす段階。教育支援センター、スクールカウンセラー、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)、体調が続くときは小児科へ
この時期は、あなたと家族の関係にも静かに負荷がかかっています。今の状態を、いちど確かめてみませんか。
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