きょうだいに差をつけてしまう|扱いの差の整え方
下の子の宿題を横で見ている間に、上の子は自分でお風呂に入って、自分で寝ていた。今日も一度も、ちゃんと話していない。夕方に強く叱ったのも上の子のほうで、下の子の同じ失敗は笑って流していた。寝る前にそれに気づいて、布団の中で天井を見ている——きょうだいに差をつけてしまうという悩みは、こんなふうに、一日の終わりに輪郭を持ちますね。
こんにちは、縁の整え方の専門家・出雲です。この相談で最初に出てくるのは、たいてい「平等にできない自分が情けない」という言葉です。ですから、いちばん最初に、その前提のほうを疑ってみたいと思います。
先に結論をお伝えしますね。
- きょうだいを均等に扱うことは、条件としてはじめから成り立ちません。差が出ているのは、あなたの愛情が偏っているからではありません
- 子どもが不公平だと感じるのは、配分の量ではなく、その差に説明がないときと、役割が固定されたときです
- ですから手をつけるのは、量を揃えることではなく、差の置き方を変えることです
この記事は、心の中で比べてしまう癖の話ではなく、実際に扱いに差が出てしまっている場面の話をします。心の癖のほうが気になっている方は、子どもを比べてしまう罪悪感のほどき方を先に読んでいただくと、この記事が読みやすくなります。
「平等に育てる」は、はじめから成り立たない前提です
まず、いちばん多くの方を苦しめている前提をほどきます。
きょうだいを均等に扱うというのは、実行できる約束ではありません。理由は単純で、条件が違いすぎるからです。
年齢が違えば、手がかかる量が違います。三歳の子と十歳の子に同じ時間を配ることはできません。性格が違えば、必要な関わり方も違います。放っておいても自分で進む子と、隣に座らないと止まってしまう子が同じ家にいます。そして、生まれた順番によって、あなた自身のコンディションも違います。上の子のときは初めてで必死でした。下の子のときは仕事が忙しかったかもしれません。
つまり、差はあなたの選択で生まれているのではなく、条件の差がそのまま現れているだけなのですね。同じ量を配ろうとすると、手のかかる子は足りず、手のかからない子は持て余す。均等な配分は、実は不公平の別の形になります。
それでもこの悩みが消えないのは、「平等に愛しています」と言えないことが、親としての失格に思えるからです。けれど、愛情の量と、時間や叱責の量は、別のものです。あなたが夜に苦しくなるのは、愛情が偏っているからではなく、配分が偏っている事実を、愛情の偏りとして読んでしまっているからだと私は思っています。
子どもが不公平を感じるのは、量ではないところです
では、子どもは何を見て「ずるい」と言うのでしょうか。ご相談を伺ってきて、原因は三つに集約されると感じています。
ひとつめは、説明がないことです。「今日はお母さん、弟の準備で手一杯だから、あとで来るね」と言われた子と、何も言われないまま後回しにされた子では、同じ待ち時間でも受け取り方がまったく違います。子どもが耐えられないのは待つことではなく、理由がわからないまま扱いが変わることです。
ふたつめは、予測できないことです。今日は許されたことが明日は叱られる。下の子には流したことを自分だけ注意される。基準が読めない家では、子どもは常に親の顔色を見ます。これがいちばん静かに気力を削ります。
みっつめは、役割が固定されることです。「お姉ちゃんだから」「この子は要領がいいから」「下の子は甘えん坊だから」。悪気なく貼られたこの札は、家の中でその子の居場所を決めてしまいます。手のかからない子に「あなたは大丈夫だから」と言い続けると、その子は大丈夫でいることが自分の役目だと理解します。そして、しんどいときにも言わなくなります。
言い換えると、量の差は、説明と予測可能性でかなり吸収できます。逆に、量を揃えても役割が固定されていれば、不公平感は残ります。手を打つ場所が見えてきましたね。
まず、差が出ている場所を棚卸しする
漠然と「差をつけてしまっている」と思っているうちは、動きようがありません。紙に書くつもりで、次の五つを一つずつ確かめてみてください。
時間の配分
この一週間で、それぞれの子と一対一で話した時間はどれくらいでしょうか。宿題や送迎など用事つきの時間ではなく、用のない時間を数えてみてください。叱る回数
同じ行動を、片方だけ注意していないでしょうか。よくあるのは、上の子には結果を、下の子には過程を求めてしまう形です。手のかかる子への偏り
体調が弱い、勉強でつまずいている、園や学校で困っている。今その子に時間が寄るのは自然なことです。問題は偏っていること自体ではなく、寄っていない側に何も届いていないことです。期待の差
「あなたには期待している」も「あなたは自由でいい」も、どちらも重さを持ちます。かけている期待の中身が違っていないか見てみてください。お金と物
習い事、進学、誕生日。金額を揃える必要はありませんが、片方だけが説明なしに我慢しているなら、そこは説明が要る場所です。
五つ全部を直そうとしなくて大丈夫です。いちばん心当たりのあるものを一つ選んでください。そこだけ手を入れます。
差を埋めるのではなく、置き方を変える四つの手
差に、その場で名前をつける
隠すより、口に出すほうが安全です。「今は下の子の準備で手が離せない。八時になったら三十分あなたの時間ね」。理由と、いつ戻るかをセットで渡します。子どもが不安なのは、忘れられることであって、待つことではありません。短くていいので、独占できる時間を作る
十分で構いません。大事なのは長さではなく、他のきょうだいがいないことと、繰り返されることです。買い物に一人だけ連れて行く、寝る前にその子の部屋にだけ寄る。予定として決めてしまうと続きます。役割の札を外す
「お姉ちゃんだから我慢して」を、「今日は先に譲ってくれる?」に替えます。順番や立場ではなく、その日その場のお願いにする。同じ内容でも、貼りつく重さが変わります。謝るときは、その子だけに謝る
きょうだいが揃っている場での謝罪は、もう一方への説明に見えてしまいます。言いすぎたと思ったら、あとで一対一のときに、短く伝えてください。「さっきは言い方がきつかった、ごめん」。それで十分です。
叱る回数の偏りが気になっている方は、怒りが出る時間帯そのものに手を打つ方法を子どもに怒りすぎる自己嫌悪への手当てにまとめています。あわせて読んでみてくださいね。
なお、気分の落ち込みが二週間以上続いている、眠れない、子どもへの感情がうまく扱えないと感じるときは、性格の問題として抱え込まないでください。心療内科やカウンセリング、自治体の子育て相談窓口など、専門の窓口への相談も選択肢に入れてください。
その差が、あなたの育った家から来ていることもあります
もうひとつだけ、深いところの話をさせてください。
きょうだい間の扱いに差が出やすい方の中には、ご自身がきょうだいの中で特定の役割を負って育った方がいます。上の子として我慢してきた人が、上の子に厳しくなる。可愛がられなかった人が、下の子に必要以上に手をかける。どちらも、目の前の子に向けているようで、実は昔の自分の位置をなぞっています。
この場合、子育ての工夫だけでは同じ場面が繰り返されます。手をつける場所は、あなたと、あなたの育った家との間にあるものです。許す必要も、和解する必要もありません。置き場所を変えるだけで、目の前の子への配分は変わります。その方法は親を許せない気持ちを手放す方法にまとめました。心当たりのある方は、そちらを先に読んでみてください。
縁を整える視点|きょうだいの縁は、家の外で育ちます
縁を見つめてきた立場から、ひとつお話しさせてください。
昔から、きょうだいの縁は、親が結ぶものではなく、あとから本人たちが結び直すものだと言われてきました。実際、仲のいいきょうだいのほとんどは、子ども時代ではなく、家を出たあとに関係を作り直しています。
そう考えると、親がこの時期にできることは、仲良くさせることではありません。片方の名前を、もう片方への評価に使わないことです。「お姉ちゃんはできたのに」も「弟を見習いなさい」も、その瞬間は躾の言葉ですが、二人の間には長く残ります。あとから結び直すときに、この一言がほどけない結び目になっていることがあるのですね。きょうだいの縁の重さについては、きょうだいの縁が持つ意味と整え方にも書きました。
差は出ます。出ていいのです。ただ、その差の理由に、もう一人の名前を持ち出さない。それだけを守っていれば、二人の間の縁は傷まずに残ります。
まとめ|揃えるのではなく、説明することです
- きょうだいを均等に扱うのは、条件からして成り立ちません。差が出ることは失格ではありません
- 子どもがこたえるのは量ではなく、説明のなさ、基準の読めなさ、役割の固定です
- 差に名前をつけて、短い独占時間を作り、立場の札を外し、謝るときは一対一で
きょうだいの扱いに悩むとき、その根はあなた自身が育った家族の形にあることもあります。今の状態を、いちど確かめてみませんか。
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