SNSの承認欲求に疲れた時の3つの問い
投稿ボタンを押した瞬間から、時計が動き出します。5分後に開く。10分後にまた開く。数字が伸びていないと、写真の選び方が悪かったのだろうかと考える。伸びていれば伸びていたで、次はこれ以上の反応がないと物足りなくなる。
いちばん疲れるのは、それを自分でわかっていることです。一喜一憂している場合ではないと知っているのに、指はまた画面を更新している——。
こんにちは、縁の整え方をお伝えしている出雲です。この記事にたどり着いたあなたは、たぶん承認欲求そのものを消したいのだと思います。けれど今日は、その方向をいったん置いてもらいたいのです。
先に結論をお伝えしますね。
- 承認欲求は消すものではありません。消そうとする試みが、疲れの半分を作っています
- 疲れているのは欲求の強さではなく、承認を受け取る「単位」が変わってしまったことのほうです
- 抜け出す鍵は、3つの問いで疲れの出どころを特定し、承認の預け先を分散することです
まずは、いちばん大きな誤解からほどいていきましょう。
承認欲求をなくそうとするから、二重に疲れます
「承認欲求が強い自分が恥ずかしい」。この感覚を持つ方は、本当に多くいらっしゃいます。
けれど、人に認められたいという気持ちは、性格の欠点ではありません。人は集団の中で生きてきた生き物なので、周りから受け入れられている感覚は、安全の確認とほとんど同じ意味を持ちます。認められたいと思わない人のほうが、珍しいのです。
問題は、欲求の有無ではなく、欲求を持っている自分を責める二階建てのほうにあります。
一階では「反応がほしい」と思い、二階では「そんなことを思う自分は浅い」と責めている。この二階が乗っているせいで、疲れは倍になります。しかも素直に「今日は反応がほしい気分だ」と認められず、こっそり何度も画面を開くことになる。
ですから最初にやることは、承認欲求を消すことではなく、二階を下ろすことです。「私は認められたい。それは自然なことだ」。ここまでは、そのまま持っていて構いません。
疲れているのは、承認の「単位」が変わったからです
では、なぜ現代の承認はこれほど人を疲れさせるのでしょうか。欲求は昔からあったはずなのに、です。理由は、承認の受け取り方が、この十数年でまったく別のものに変わったからです。
かつての承認は、数えられませんでした
「よくやったね」と言われる。うなずかれる。名前を呼ばれる。どれも数字にならないので、比べようがありませんでした。今は承認が数字になり、前回と比べずにいるのが難しくなります。そして人は、上がった数字にはすぐ慣れ、下がった数字は長く覚えます。
かつての承認は、遅れて届きました
手紙も、噂も、評判も、時間をかけて届くものでした。今は数分で届きます。届くのが早いと、届かないことにもすぐ気づいてしまう。反応がないという情報が、その場で積み上がるのです。
かつての承認は、相手の顔が見えました
誰の言葉かがわかるから、重みも変わりました。今は大部分が匿名の数です。よく知りもしない人からの反応を、心を込めて作った投稿と引き換えに受け取っている。この交換レートの悪さが、消耗の正体です。
つまり、あなたが弱いのでも欲深いのでもなく、承認の単位が「言葉」から「数」に変わった環境で、生身の心が対応しようとしているだけです。
他人の投稿と自分を比べてしまう感覚のほうに心当たりがある方は、SNSで人と比べてしまい苦しい時の3タイプ別処方箋もどうぞ。見る疲れと見られる疲れは、別の手当てが要ります。
疲れの出どころを特定する、3つの問い
承認欲求の疲れは人によって出どころが違うので、まず特定します。紙とペンがあれば理想的ですが、頭の中でも構いません。
問い1:あなたは今、誰に見せていますか
投稿するとき、頭に浮かんでいる顔を思い浮かべてください。何人いますか。何人かの顔が浮かぶなら健全な範囲ですが、多くの方はここで別の答えにたどり着きます。
よくあるのは、「特定の一人に見られることを意識している」という答えです。元恋人、疎遠になった友人、張り合っている相手、認めてほしい親。数百人に向けて投稿しているつもりで、実は一人への手紙を書き続けていた、という方は驚くほど多いのです。
もう一つが、「誰の顔も浮かばない」という答え。宛先のない発信は、いちばん消耗します。届いてほしい相手がいないのに、届いたかどうかを確かめる作業だけが残るからです。
問い2:あなたは何を認めてほしいのですか
ほしいのは投稿への反応そのものではなく、たいていその奥にある何かです。次のどれに近いですか。
- 頑張っていることを知ってほしい
- 一人ではないと確かめたい
- センスや趣味を面白いと思ってほしい
- 幸せそうに見せて、心配されないようにしたい
- 今の生活の選択が間違っていないと確かめたい
四つ目や五つ目に手が挙がった方は、承認を求めているというより、不安を打ち消すために投稿している状態です。この場合、どれだけ反応が来ても満たされません。不安のほうが、そのまま残っているからです。
問い3:反応が来なかったとき、いちばん怖いのは何ですか
これがいちばん核心に近い問いです。数字が伸びなかった夜、あなたが本当に怖いのは何でしょうか。
- 忘れられているのではないか
- 面白くない人だと思われたのではないか
- あの人にだけは見られていないのではないか
- 自分の生活には、人に見せる価値がないのではないか
三つ目なら、疲れの正体は承認欲求ではなく、特定の一人との未整理の関係です。四つ目なら、必要なのは反応ではなく、自分の生活を自分で認める作業のほうです。
人の目そのものが気になるという方は、人の目が気になるのを直したい|視線の置き場所を変える方法もどうぞ。
承認の預け先を分散する、4つの手順
出どころが見えたら、手当てに入ります。目指すのは、承認を求めなくなることではなく、預け先を一か所に集中させないことです。全財産を一つの口座に入れているから、残高の増減で毎日心が揺れるのですね。
- 数字を見えなくする。多くのサービスに、反応の数を非表示にする設定があります。変えるだけで、投稿後の確認回数が目に見えて減ります。まずここからです
- 宛先を一人に決めて発信する。「これは〇〇さんが面白がりそうだから載せる」と決めてから投稿します。反応が一つでも、その人からなら満たされます。宛先があるだけで、数字の意味が変わります
- 誰にも見せない記録の場所を作る。手帳でもメモアプリでも構いません。良かったことを一日一行、公開しない場所に書きます。承認の一部を自分の口座へ移す作業で、地味ですがこれがいちばん効きます
- 受け取る側から、渡す側に回る。誰かの投稿に、数字ではなく言葉で一言送ってみてください。渡す側に回ると、承認が有限の奪い合いではないことが体でわかります
やめるのではなく、休む——1か月の実験
「もうやめたほうがいいのかも」と思っている方へ。やめる前に試してほしい実験があります。投稿だけを1か月止める、というものです。アカウントは残し、見るのも自由。
- 期間を決める(1か月がおすすめです。短すぎると変化が出ません)
- 誰にも宣言しない。「しばらく休みます」と告知すると、それ自体が発信になり、反応を確かめたくなります
- 投稿したくなったら、手順3の非公開の記録に書く。書く先を用意しておくのが要点です
- 1か月後、3つを自分に聞く。困ったことは何件あったか。誰かとの関係は実際に変わったか。心は軽くなったか、それとも寂しくなったか
この実験の価値は、答えが自分のデータで出ることです。「やめたら忘れられる」という恐れは、たいてい想像より小さい規模で終わります。逆に寂しさが強く出た方は、承認ではなく単純な交流が足りていなかったとわかります。
見るほうも含めて整理したくなったら、インスタを見るのをやめたい人のための7日間手順がそのまま使えます。
なお、反応がないと強い不安に襲われる、眠れない、自分を責める考えが止まらないといった状態が続く場合は、意志や工夫の問題ではないこともあります。心療内科やカウンセリングに相談する選択肢も持っておいてくださいね。
縁切り・開運の視点——見られる前提で暮らすと、自分の声が聞こえにくくなります
昔から、人には内側から聞こえる声があると言われてきました。これがしたい、ここは違う気がする、この人とは合わない。理屈より先に立ち上がってくる感覚のことです。この声は静かなところでしか聞こえず、承認の数字はかなり大きな音を立てます。
見られる前提で暮らしていると、行き先も、買うものも、休日の過ごし方も、少しずつ「どう見えるか」で決まっていきます。決めているのは自分のはずなのに、判断の基準だけが外に移っている。長く続くと、自分が本当は何をしたいのかがわからなくなると言われます。
だからこそ、承認の預け先を自分の側に少し戻すことには意味があります。数字の音量を下げると、内側の声が聞こえる余地が生まれる。そしてその静けさは、縁の選び方にも効いてきます。見栄えのする縁ではなく、一緒にいて呼吸が楽な縁を選べるようになるからですね。SNSの使い方と縁の巡りの関係は、SNSで運気が下がると言われる理由|3つの回路で、民間に伝わる考え方と実際に起きていることの両面からお話ししています。
まとめ——消すのではなく、預け先を分けましょう
- 承認欲求は自然なものです。消そうと責める二階建てが、疲れを倍にしています
- 「誰に見せているか」「何を認めてほしいか」「反応がないと何が怖いか」の3つで出どころがわかります
- 数字の非表示、宛先を決めた発信、非公開の記録、渡す側に回ること。この4つで預け先が分散します
その疲れが、特定の誰かに認められたいという未整理の縁から来ている可能性もあります。まずは客観的に確かめてみませんか。
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