方位取りのやり方|初心者のための手順と考え方

2026/8/13 公開文・出雲

久しぶりの連休に、どこかへ出かけようと思った。宿を探していたら、検索結果の隅に「吉方位」という言葉が見えた。どうせ行くなら、自分にとっていい方角へ行きたい。そう思って調べ始めたら、年盤、月盤、日盤、五黄殺、暗剣殺、距離は何キロ以上、滞在は何時間以上——聞いたことのない言葉が次々に出てきて、結局その日はどこにも予約せずに閉じてしまった。そんな夜ではないでしょうか。

こんにちは、開運と縁を整える仕事をしている出雲です。方位取りは、調べ始めた人の多くが同じところでつまずきます。あなたが迷うのは当然なのですね。

先に、この記事の立場をはっきりさせておきます。

方位取りは、流派によって考え方も、方角の出し方も違います。同じ生年月日を入れても、参照した暦が違えば答えが変わります。ひとつの正解にまとめられるものではありません。そして、この作法で何かが起きることをお約束するものでもありません。長く受け継がれてきた考え方として、意味と手順をお伝えします。

方位取りとは、どういう考え方なのか

まず、何をする作法なのかを短くお伝えします。

方位取りは、自分が暮らしている場所を中心に置いて、自分にとってよいとされる方角へ出かけ、その土地の空気や水や食べものを体に取り入れてくる、という考え方です。祐気取り、お水取りといった呼び方をされることもあります。

特徴は、家の中で何かをするのではなく、実際にそこへ足を運ぶところにあります。塩を盛る作法や、紙に書く作法とは組み立てが違うのですね。移動そのものが作法になっている、と言ってもいいと思います。

どこから来た作法なのか

由来は、いくつかの流れが重なっています。

ひとつは、平安の頃に行われていた方違えです。目的地がその日の凶の方角にあたるとき、いったん別の方角の家に泊まってから向かい、方角を変えて到着する。方角を避けるための工夫が、貴族の日記などに数多く残されています。

もうひとつは、お水取りやお砂取りと呼ばれてきた習わしです。決まった土地へ出向いて、そこの水や砂をいただいて帰る。各地の社寺に、いまも形を変えて残っていますね。

そして三つ目が、九星気学の系統です。生まれ年から出した本命星をもとに、その年・その月・その日にどの方角が自分にとってよいかを見ていく考え方で、いま「吉方位」として紹介されているものの多くは、この流れをくんでいます。

由来が三つあるということは、作法も三通りあるということです。調べると答えが割れるのは、このためなのですね。

なお、暦にもとづく考え方に触れるのが初めてなら、暦を生活に取り入れる入門を先に読んでおくと、この後の話がずいぶん入りやすくなります。何から始めればよいかを、いちばん手前から並べた記事です。

始める前に、決めておいてほしいこと

手順に入る前に、私からいくつかお伝えしておきたいことがあります。

遠くへ行くほどよい、という話には乗らないでください。距離が長いほど強く働くという伝え方は確かにありますが、それを真に受けると、方位取りは飛行機と宿泊費のかかる行事になってしまいます。休みを削り、お金を使い、帰ってきて疲れ果てている。それでは何のためかわかりませんよね。私は、日帰りで、近場から始めることをおすすめしています。開運の作法はどれもそうなのですが、何かを足す前に、消耗している場所を止めるほうが順番として先です。その考え方は運気を上げる方法|まず消耗を止める整え方にまとめました。

旅行そのものの目的にしないことも大切です。方角のために行き先を我慢すると、出かけること自体がつまらなくなります。

それでは、方位取りの手順に入りましょう。最初にすることは、地図を開くことでも、方角を調べることでもありません。まず決めるのは、あなたの「基点」です。

手順1:基点を決める

方角は、どこから見るかで変わります。ですから最初に、どこを中心に数えるのかを決めます。基点にするのは、いま生活の拠点にしている住まいです。寝起きし、荷物を置き、帰ってくる場所ですね。実家住まいの方はその家、単身赴任の方は平日を過ごしている部屋にする考え方が一般的です。旅先からさらに別の方角へ、と重ねないでください。一回の外出につき、家を出て家に帰る形のほうが、記録も残しやすいですよ。

引っ越して間もない方は、生活が回り始めてからに。荷ほどきの終わっていない部屋は、まだ「帰る場所」になっていません。住まいが変わること自体については引っ越しで運気が変わる理由|3つの仕組みをどうぞ。

手順2:方角の分け方を知る

八方位を使いますが、四十五度ずつ均等に割るのではありません。東・西・南・北をそれぞれ三十度、北東・南東・南西・北西をそれぞれ六十度とする分け方が広く使われています。四隅のほうが広いのですね。ここを知らないと、東だと思っていた場所が実は北東だった、ということが起こります。

調べ方は簡単です。地図アプリで自宅と行き先の候補に印をつけ、真北を上にして、自宅から見て行き先がどの角度にあるかを見ます。

方位磁石を使う場合は、磁石の指す北と地図の北がずれることを頭に入れておいてください。日本ではおおむね西へ五度から九度ほどと言われます。境目からはっきり離れた行き先を選ぶほうが迷いませんよ。

手順3:自分にとっての方角を出す

ここがいちばん流派の差の大きいところです。方角の良し悪しは、生まれ年から出した本命星と、その年・月・日の星の配置を組み合わせて判断されます。年ごとの配置を年盤、月ごとを月盤、日ごとを日盤と呼びます。本命星の出し方は九星の相性の調べ方|本命星の出し方と見方に書きましたので、まだの方はそちらから始めてください。避けるとされる方位には、五黄殺、暗剣殺、本命殺、本命的殺、歳破、月破といった名前がついています。

そのうえで、いちばん実際的なお願いがあります。参照するものを一つに決めて、混ぜないでください。気学の暦でも、方位を載せたカレンダーでも、ひとつのサイトでも構いません。見比べると食い違いが出てきて、人は自分に都合のいい答えを選んでしまうからです。

初めての方は、日盤だけを見る形から始めるのが扱いやすいですよ。年や月まで合わせようとすると、条件のそろう日が年に数日しかなくなり、いつまでも出発できません。

手順4:行き先の決め方

距離は、日帰りなら片道二十キロから百キロほどを目安とする伝え方が多いようです。もっと長い距離を勧める流派もありますが、初めのうちは電車で一時間前後、車で一時間半以内で十分だと思っています。

よく挙げられるのは、川の上流や湧水地や海辺といった水のあるところ、温泉、神社やお寺、大きな公園や林です。ただし、この一覧に縛られないでください。行きたい場所があるなら、そちらのほうがずっといいのです。気の進まない場所で二時間過ごしても、記録に残るのは退屈だけですから。

混雑する観光地は、初回には向きません。人の少ない時間帯に行ける場所を選べると、体の負担がずいぶん違いますよ。

手順5:滞在時間の目安

よく言われるのは、二時間以上という目安です。四時間、あるいは宿泊してこそ意味があるとする流派もあります。

私は、日帰りで二時間から三時間で十分だという立場です。続けられるからです。宿泊が条件になると年に一度か二度の行事になってしまいますが、近い方角へ何度か通えるほうが暮らしの中で働くと思うのですね。

数えるのは現地で過ごした時間で、移動時間は含めません。着いてすぐ引き返す形だと、その土地の水も食べものも取り入れないまま帰ることになります。

手順6:現地ですること、持ち帰るもの

現地ですることは、難しく考えなくて構いません。

  1. 着いたら立ち止まって深呼吸を三回します。ここまで来た、という区切りをつけるためです
  2. その土地の水に触れます。手を洗う、足を浸す、温泉に入る。触れられない場所なら、眺めるだけでも構いません
  3. その土地のものを一つ食べます。食堂の定食でも、道の駅の果物でも構いません
  4. 三十分ほど歩いて、その場所の空気を体に通します。帰る前に、写真を一枚だけ撮ります

持ち帰るものには注意が要ります。水をいただく作法がありますが、飲用の可否が表示されている場所を選んでください。表示のない沢の水はおすすめしませんし、持ち帰る場合も生水は加熱してから使うほうが安心です。砂や土をいただくお砂取りも、社寺によって許される場所とそうでない場所があります。国立公園や自然公園、私有地では採取が禁じられている場合がありますので、無断で持ち出さないでくださいね。

いちばん扱いやすいのは、その土地で買ったものを一つ持ち帰る形です。地元の塩、お茶、道の駅の野菜。土地のものを暮らしに取り入れる意味は、これで十分に果たせますよ。

日帰りでできる、半日の形

初めての方に、いちばん現実的な形をお伝えします。

  • 朝八時から九時のあいだに家を出る
  • 一時間から一時間半かけて、決めた方角の場所へ移動する
  • 十時半ごろに到着し、深呼吸、水に触れる、歩く、その土地のもので昼食
  • 十三時から十四時のあいだに現地を出る
  • 夕方までに帰宅し、その日は早めに休む

宿も特別な道具も要りません。まずはこの形を三回くり返してみてください。

避けたほうがよい状況

  • 体調がすぐれない日。移動そのものが負担になります。妊娠中の方や持病のある方は、主治医に相談したうえで無理のない範囲に
  • 天候が荒れている日。予定を優先して山道や海辺へ向かうのは危険です。日を改めてください
  • 費用に無理がある時期。方位取りのために生活費を削るのは、本末転倒です
  • 睡眠を削って出かけること。運転する場合はとくに、疲れたまま出発しないこと
  • 家族に隠して出かけること。罪悪感を行った先まで持っていくことになります
  • 頻度を増やしすぎること。月に一度から二度で十分です

そして、いちばんお伝えしたいのがこれです。転職、離婚、引っ越し、お金に関わる判断を、方位で決めないでください。方位取りは決めたことを後押しする形でならよく働きますが、決めることそのものを預ける相手ではありません。判断が要る問題は、専門の窓口に相談したうえで決めてくださいね。

住んでいる土地が合わないと感じている場合も、方位取りより先に原因を見分けるほうが早いです。その手順は土地との相性のスピリチュアルな見方と確かめ方にまとめました。

記録の付け方——ここがいちばん大事です

続く方とやめてしまう方の違いは、記録があるかどうかだと感じています。ノートでもスマホのメモでも構いません。行くたびに四つだけ書いてください。

  1. 日付と、出た方角、行き先の名前
  2. 現地で過ごした時間
  3. その日の体の感じと、気分を一行ずつ
  4. 二週間後に読み返す日を決めて、書いておく

二週間後、その欄に「このあいだに起きたこと」を三行だけ足します。何もなかった、でも構いません。

半年続けると、方角と出来事の関係よりも、自分が出かけた翌週をどう過ごしているかのほうが見えてきます。方位取りが働くとしたら、たぶんそこなのだと私は思っています。こもりがちだった週末のほうが、先に動き始めるからです。

出雲のワーク|同じ場所へ、三回通う

方角をあれこれ変えるより、まずこれを試してください。決めた方角の場所を家から一時間以内で一つ選び、三か月で三回通います。毎回、同じ時間帯に、同じ道を歩く。三回目に一回目のメモを読み返すと、一回目は目新しさ、二回目は気づき、三回目に自分の変化が見えてきます。年に何度かの行事にしたい方は、暦の節目の日の使い方の四つの区切りに合わせると続けやすいですよ。

状況別のアドバイス

  • 車を持っていない方へ — 電車とバスで行ける範囲で十分です。外を眺める時間が長いぶん、切り替えにはむしろ向いています
  • 小さなお子さんがいる方へ — 半日でも負担が大きいなら、家から三十分の公園で構いません。出かけた事実のほうが残ります
  • 何も感じない方へ — 感じることが目的ではありません。記録が三回たまってから判断してください
  • 気分の落ち込みが二週間以上続いている方へ — 出かける前に、医療機関や相談窓口を先にしてください

まとめ

  • 方位取りは、自宅を基点に、よいとされる方角へ出かけ、その土地のものを取り入れる考え方です
  • 方角は東西南北が三十度、四隅が六十度。参照する暦は一つに決めて、混ぜないこと
  • 日帰り、片道一時間前後、滞在二時間から始めれば十分です。水や砂の持ち帰りは可否を確かめてください
  • 流派によって考え方は異なります。無理のない範囲で続けてくださいね

いまの流れが疲れによるものか、動きの止まった停滞なのかを先に分けておくと、方位取りの使い方が決まります。

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