恋愛したいのに動けない|一歩を小さく割る
アプリを入れて、プロフィールの入力画面をひらいて、自己紹介の欄で手が止まる。書けないまま画面を閉じて、数日後にアプリごと消す。友人から「いい人がいるんだけど」と言われて、「今ちょっと仕事が立て込んでて」と笑って断る。誰かと一緒にいたい気持ちはある。それなのに、そこへ向かう手前で毎回止まってしまう——。恋愛したいのに動けないと検索したあなたは、たぶん、その繰り返しを何年か続けているのだと思います。
まず、いちばん言われがちなことを否定させてください。あなたは、怠けているのではありません。
- 動けないのは意欲の問題ではなく、ブレーキがかかっている状態です。アクセルを踏み増しても動きません
- 「勇気を出して一歩」が効かないのは、その一歩が大きすぎるからです
- やることは、勇気を出すことではなく、一歩を十分の一に割ることです
動けないことを、怠慢として扱わないでください
恋愛の話になると、動かない人はすぐに意欲の問題にされます。本気じゃない、理想が高い、覚悟が足りない。周囲から言われるだけでなく、自分でも自分にそう言い聞かせている方が多いのですね。
けれど、動けない状態を内側から見ると、まったく違う景色をしています。アクセルを踏んでいないのではなく、ブレーキが踏まれているのです。しかも、そのブレーキはあなたが意図して踏んでいるものではありません。
ブレーキは、たいてい過去の経験から来ています。前の関係で言われた言葉、うまくいかなかったときの落ち込み方、断られたときの体の感覚。頭が忘れていても、体のほうは覚えていて、似た状況に近づくと先に反応します。だから、気持ちは前を向いているのに足が出ない、という妙なねじれが起きるのですね。
これは意志の弱さではなく、守りの機能が働いている状態です。守りが働いている人にアクセルを踏ませようとしても、両方踏むことになって、余計に消耗します。
「勇気を出して一歩」が効かない理由
よくある助言は、たいてい一歩が大きすぎます。
出会いの場に行ってみよう。アプリを始めてみよう。誰かに紹介を頼もう。どれも間違ってはいませんが、動けない人にとってこれは一歩ではなく、十歩ぶんの塊です。塊のまま目の前に置かれると、人は着手できません。
もうひとつの理由は、行動の中身が具体でないことです。「出会いの場に行く」には、調べる、選ぶ、申し込む、予定を空ける、服を決める、当日出かける、という工程が全部入っています。この工程のどこで止まっているのかを見ないまま「行こう」と言われても、体は動きようがありません。
だから、やることは気持ちの入れ替えではなく、工程の分解です。
ブレーキの正体を確かめる、3つの問い
分解する前に、どこにブレーキがあるのかを見ておきましょう。次の3つを、紙に書いて答えてみてください。
- 誰かと出会う場面を思い浮かべたとき、体が重くなるのはどの瞬間ですか(会う前/会っている最中/別れたあと)
- その瞬間に、いちばん避けたいと感じているのは何ですか(断られること/気を遣い続けること/また同じことになること/今の生活が崩れること)
- その避けたいことは、過去に実際に起きたことですか。それとも、まだ起きていない想像ですか
3番目で「実際に起きた」に丸がつくなら、そこは根性で越える場所ではありません。傷が残っている場所です。まだ起きていない想像であれば、工程を小さくしていくことで越えていけることが多いのですね。
そして、避けたいものの中に「今の生活が崩れること」が入っていた方。それは、恋愛を望んでいないという意味ではありません。今の暮らしを大事にしているというだけのことです。恋愛は生活を差し出す行為ではないので、そこは守ったまま進んでかまいませんよ。
一歩を、十分の一に割る
ここからが本題です。あなたがやることは、一歩を踏み出すことではなく、一歩を十個に割って、その最初の一つだけをやることです。目安は「三分以内で終わり、誰にも見られず、途中でやめても何も起きない」ことです。
たとえば、こんな形になります。
- アプリを入れる代わりに、自己紹介に書く文章をメモアプリに三行だけ書く。登録はしない
- 出会いの場に行く代わりに、行くとしたらどこがあるかを調べて、二つ名前を書き出す。申し込まない
- 誰かに紹介を頼む代わりに、頼めそうな人の名前を一人だけ思い浮かべる。連絡はしない
- 服を買いに行く代わりに、今持っている服の中で人と会える一式を選んで、ハンガーにかけておく
- 週に一度、家の外で三十分だけ座る時間を作る。誰と話さなくてよい。人のいる場所に体を置くだけ
ばかばかしく思えるくらい小さくてかまいません。動けない状態にある人にとって、着手できたという事実そのものが薬になります。三分の行動を五回積むと、体のほうが「この方向に進んでも危険はない」と学びはじめます。
順番も決めておくと楽です。上の1から順にやる必要はありません。あなたが今日いちばん軽く感じるものを一つだけ選んで、それを三日続ける。三日続いたら、次の一つを足す。増やすのはそれだけです。
接点の数そのものを増やしていく段階に来たら、出会いがない30代40代の接点の増やし方に、生活の中で経路を作る方法をまとめてあります。ただし、動けない時期にあの記事から始めると重く感じるので、三分の一歩がいくつか積み上がってからで大丈夫ですよ。
過去の傷が理由のときは、恋愛の外で手当てを
先ほどの3つの問いで、避けたいことが「過去に実際に起きたこと」だった方へ。
その場合、恋愛の中で頑張って乗り越えようとすると、同じ傷をもう一度触ることになります。順番としては、傷のほうを先に手当てするほうが、結果的に早いのですね。
- 特定の相手のことを思い出すと呼吸が浅くなる、涙が出る
- その人に似た雰囲気の人を見ると、体がこわばる
- 眠りが浅い、夢に出てくる
- 「どうせまた同じことになる」という考えが自動で浮かぶ
こうした反応が続いているなら、カウンセリングという選択肢を考えてみてください。心の相談は、深刻な状態の人だけが行く場所ではありません。話す相手を一人確保するだけで、頭の中の同じ再生が止まることがあります。自治体の相談窓口や、勤め先の相談制度が使えることもありますし、眠れない状態が続いているなら心療内科などの医療機関も選択肢になります。
引きずっている相手がまだ心の中に残っているなら、失恋を引きずるときの過ごし方が、時間の使い方の助けになります。気持ちの整理を形にしたい方には、縁切りを紙に書くやり方で、手放しの作法をお伝えしています。
動かない時期があっても、縁は減りません
もうひとつ言っておきたいことがあります。動けない時期をゼロにしなくていい、ということです。
仕事が重い時期、家族のことがある時期、体調が整わない時期。人には、恋愛にエネルギーを回せない季節があります。その時期に無理に動いても、目の前の人を見る余裕がないまま会うことになり、消耗だけが残ります。
もし今がその季節なら、期限だけ決めておいてください。「三か月は考えない」「桜が咲いたら、三分の一歩を一つ始める」。決めておくと、休むことが後退ではなくなります。自分の生き方の軸そのものが揺れていると感じる方は、自分軸で生きる方法も読んでみてくださいね。
縁を整える視点から
縁は、探しに行った人のところにだけ来るものではありません。私が見てきた限り、良いご縁は、その人の生活が動きはじめたときに、その動きに巻き込まれるようにして現れます。
だから、動けないあなたに必要なのは、恋愛に向かう大きな一歩ではなく、生活のどこかが少しだけ動くことなのだと思います。行く店が一軒増える、通る道が変わる、休日の過ごし方が変わる。縁は、その小さな変化の隙間から入ってきます。
昔から、戸を開けておかないと風は通らないと言われてきました。戸を開けるというのは、出会いを探しに走ることではなく、閉じ切っていた暮らしにひとつ隙間を作ることです。三分の一歩は、その隙間を作る作業でもあるのですね。
動けない自分を責めていた時間を、一つだけ小さな行動に置き換える。それだけで、景色は少しずつ変わっていきますよ。
まとめ
- 動けないのは意欲の問題ではなく、ブレーキが働いている状態です
- 効くのは勇気ではなく、一歩を三分で終わる大きさに割ることです
- 過去の傷が理由のときは、恋愛の外でカウンセリングなどの手当てを先にしてください
今のあなたが、過去のどこにどれくらい引っかかっているのか。まずは無料で確かめてみませんか。
動けない夜のことは、LINEからいつでも私に聞かせてくださいね。