節分の厄落としのやり方|当日の流れと作法
二月に入ると、スーパーの入り口に豆と恵方巻の予約用紙が並びはじめます。毎年なんとなく通り過ぎていたのに、今年はその前で足が止まった。去年は、思い返すといろいろあった一年でした。人間関係でも、体調でも。今年こそ、区切りをつけてから春を迎えたい——そう思って、節分の厄落としのやり方を調べにこられたのではないでしょうか。
こんにちは、縁の整え方の専門家・出雲です。その思いつきは、とてもよい入り口だと思います。節分という日は、まさにそのためにつくられてきた日だからです。
先に、この日の意味からお伝えしますね。
節分とは、文字どおり「季節を分ける」日のことです。もともとは立春・立夏・立秋・立冬それぞれの前日を指す言葉でしたが、そのうち春の節分だけが行事として残りました。立春を一年の始まりとする考え方があったため、その前日は大晦日にあたる日だと受け取られてきたのです。日付は二月三日ごろとされますが、暦の計算によって二月二日になる年もあります。その翌日にあたる立春を、暦がどう扱ってきたのかは立春とは?暦の上の一年の変わり目の考え方にまとめました。節分の意味は、立春とセットで見るとわかりやすくなります。
つまり節分は、古い年の終わりの日。だからこの日に、前の年に溜まったものを落として、新しい季節を迎える。厄落としが節分と結びついてきたのは、この暦の考え方があったからだと言われています。
そして、季節の変わり目は昔から、体調や心が揺れやすい時期とされてきました。実際、冬から春に移る二月は、気温の上下が大きく、日照が戻りはじめる時期でもあります。昔の人が節目に行事を置いたのは、その揺れやすい時期に、暮らしを立て直す区切りをつくるためだったのだろう、と私は考えています。
なお、この時期の気分の落ち込みが行事だけでは追いつかないこともあります。日々の整え方と、医療にかかることを考える目安は季節の変わり目に気分が沈むときに書きましたので、しんどさが続いている方はそちらを先にどうぞ。
厄落としというと、厄年の方のためのものだと思われがちですが、そうとは限りません。厄年の考え方は昔から広く伝わってきたもので、気になる方は参考にされてよいと思います。ただ、節分の厄落としは、年齢にかかわらず「この一年で溜まったものを、ここで一度置いていく」ための作法です。去年しんどいことがあった方、人間関係で消耗した方、体調を崩しがちだった方。どなたでも行っていただけます。
もうひとつ、はじめにお断りしておきます。節分の作法は、地域やご家庭によってかなり違います。豆をまく人が決まっている家もあれば、落花生をまく地域もあり、恵方巻を食べる習慣が新しい地域もあります。この記事でお伝えするのは、広く行われている形をもとにした一例です。ご実家やお住まいの地域に伝わるやり方があるなら、そちらを優先してください。作法に「正解」を求めるより、自分が区切りをつけられる形にすることのほうが、ずっと大切です。効果を約束するものでもありません。区切りをつける行為が、心の支えになる。それが、私がこの作法をおすすめする理由です。
さて、当日にすることは、大きく分けて五つあります。用意するものは、炒り大豆・豆をまく前に片づけておく玄関・そして少しの時間だけ。柊鰯や恵方巻は、できる範囲で構いません。
大事なのは順番です。多くの方が、豆まきから始めてしまうのですが、実はその前にしておくことがあります。それは、「日が暮れる前に、家の中を通しておく」ことです。では、順番に見ていきましょう。
当日の流れ|五つの手順
手順1:夕方までに、家を通しておく
節分の作法は、夜に行うものとされてきました。鬼は夜に訪れると考えられてきたからです。ですから、日が暮れるまでの時間を準備に使います。
やることは三つだけです。
- 玄関のたたきを、固く絞った雑巾で水拭きします。掃き掃除ではなく、拭くこと。ここが一日の気の出入り口だとされてきました
- 窓を二か所開けて、五分だけ風を通します。一か所ではなく二か所です。空気が動く道をつくります
- 家の中で、いちばん物が溜まっている一角の上に載っているものだけを片づけます。全部やる必要はありません
年末に大掃除をされた方は、ここは軽く済ませて構いません。優先順位のつけ方は大掃除で運気を上げるやり方|順番と場所の優先度にまとめています。
掃除は、儀式の前の身支度のようなものだと思ってください。
手順2:豆を用意し、日暮れまで供えておく
炒り大豆を用意します。スーパーの節分コーナーのもので十分です。生の豆ではなく、炒ったものを使うとされています。まいた豆から芽が出るのは縁起が良くないと言われてきたためです。
用意した豆は、枡や白い小皿に入れて、神棚があれば神棚に、なければ家の中の高い場所に、日暮れまで置いておきます。「今年一年、よろしくお願いします」と心の中でひとこと添えて。
地域によっては落花生をまくところもあります。殻付きで後片づけが楽ですから、集合住宅にお住まいの方には、こちらのほうが現実的かもしれません。
手順3:豆まき|順番と唱え方
日が暮れたら、豆まきに入ります。
- 家の奥の部屋から始めて、玄関に向かって進みます。奥から外へ、押し出していく形です
- 各部屋で、窓や戸を開けて「鬼は外」と言いながら外へ二回まきます
- すぐに窓や戸を閉めて、部屋の内側に向かって「福は内」と二回まきます。閉めてからまくのが要点です
- 最後に玄関で同じことをして終わります
- まき終えたら、自分の年齢の数、あるいは年齢に一つ足した数の豆を食べます
声の大きさは、住環境に合わせてください。集合住宅なら、声に出さず心の中で唱えるだけでも構いません。大事なのは音量ではなく、順番と、外へ出して内を閉じるという流れのほうです。
唱える言葉に、恨みや誰かの名前を混ぜないでください。豆まきは、特定の人に向ける作法ではありません。昔から「人に向けた強い念は自分に返る」と言われますし、誰かの顔を思い浮かべながら行う儀式は、その人を心に濃く刻み直す時間になってしまいます。落とすのは、去年のあなたに溜まった重さのほうです。
特定の相手との関係に区切りをつけたい場合は、豆まきとは別の作法にしてください。塩を使った整え方を縁切りに塩を使う方法|盛り塩・塩風呂・持ち塩の作法を解説にまとめています。
手順4:柊鰯|できる範囲で
柊の枝に焼いた鰯の頭を刺して、玄関先に飾る。これも古くから伝わる節分の習わしのひとつです。鰯を焼いたにおいと、柊の棘を鬼が嫌うとされてきました。
とはいえ、現代の住まいでは難しいこともあります。その場合は、次のような形でも構いません。
- 玄関の内側に、小さく飾る
- 柊の小枝だけを、玄関に一枝置く
- 鰯を焼いて、夕食にいただく。飾らずに食べるだけでも、節分の食事として意味は足ります
飾った柊鰯は、立春を過ぎたあたりまでを目安に片づけます。二月いっぱい飾る地域もあります。処分するときは紙に包み、塩をひとつまみ添えて感謝してから手放してください。
手順5:恵方巻と、締めの一杯
恵方巻は比較的新しく広まった習慣ですが、無言で一本食べきるという形そのものが、区切りの作法として働きます。
その年の恵方は毎年変わりますので、売り場の表示や暦で確かめてください。食べている間は、願いごとを一つだけ思い浮かべます。切らずに一本、というのが基本ですが、喉に詰まらせないよう無理はせず、小さなお子さんやご高齢の方には切って出して構いません。
最後に、白湯を一杯。体の内側から、その日を締めくくります。そして早めに休んでください。作法は、眠っているあいだに心の奥へ沈んでいくと昔から言われています。
家族がいる場合の進め方
ご家族と暮らしている方は、行事として組み立てるほうがうまくいきます。
- 役割を分けます。豆をまく人、窓を開け閉めする人、あとで掃除機をかける人。決めておくと当日が滑らかです
- お子さんがいる場合、鬼役を無理に立てなくても構いません。怖がらせることが目的ではありませんし、豆を人に向けて投げるのは思わぬ怪我のもとです。窓の外に向かってまく形だけで十分です
- 家族の誰かが体調を崩している時期なら、豆まきは省いて、恵方巻と柊鰯だけにしても構いません
- 高齢のご家族がいる場合、豆を喉に詰まらせる事故に注意してください。数を食べるのが難しければ、豆茶にして飲む形にする方法もあります
年長の方や家長にあたる方が先頭に立つのが古い形だとされますが、これも地域とご家庭によります。今のご家庭に合う形にしてください。
一人暮らしの場合の進め方
一人で行う節分は、実はとても静かで、いい時間になります。
- 豆まきは、玄関と寝る部屋の窓の二か所だけで十分です。全部屋を回る必要はありません
- 声を出しにくい住環境なら、心の中で唱えます。作法の意味は変わりません
- 恵方巻は、多ければハーフサイズでも構いません。無言で食べきる形が保たれていれば十分です
- まいた豆は、その日のうちに片づけます。翌朝に持ち越さないほうが、区切りとしてはきれいです
そして、一人で行う場合にひとつ足していただきたいことがあります。豆をまく前に、紙に「去年、いちばん重かったこと」を一行だけ書く。読み返さずに折って、まき終えたあとに、紙に包んだ豆と一緒に手放します。声に出さずに済むぶん、書くことが区切りの役割を果たしてくれます。
節分の日に、避けたほうがよいこと
- 誰かの名前を唱えながら豆をまくこと。この作法は、人に向けるものではありません
- 感情が高ぶっている日に、勢いで連絡や決断をすること。区切りの日は、手放しには向いても交渉には向きません
- 完璧にやろうとして疲れきってしまうこと。掃除も豆も恵方巻も柊鰯も、できるものだけで構いません
- 去年の反省を数え上げること。落とすための日であって、採点の日ではありません
出雲のワーク|立春までの三日間
節分の夜だけで終えず、立春を挟んだ三日間を区切りの期間として使う方法をご紹介します。ご相談の場でもお伝えしているものです。
- 節分の夜。豆をまき、去年いちばん重かったことを一行書いて手放します
- 立春の朝。起きたらカーテンを開けて、窓辺で三回深呼吸します。そして「今年、増やしたい時間」を一行だけ書きます。目標ではなく、時間の使い方として書くのが要点です
- その翌日。書いた一行のために、十分だけ時間を使います。決めたことを一度でも実行に移すことが大事なのです
厄を落とすというのは、空いた場所に何を入れるかを決める作業でもあります。落としただけで終えると、また同じもので埋まってしまうのですね。
状況別のアドバイス
- 厄年にあたる方へ — 厄年は「悪い年」ではなく「節目の年」とする見方もあります。この時期に人間関係が動くことの意味は、厄年に人間関係が変わるのはなぜ?節目の意味と過ごし方でお話ししています
- 去年、人間関係で消耗した方へ — 豆まきの前の一行に、名前ではなく「あの関わりに使った時間」と書いてみてください。落とすのは人ではなく、消耗した時間のほうです
- 年明けから調子が出ていない方へ — 新年に切り替えそこねたと感じているなら、節分をやり直しの日として使えます。手順は新年の運気の切り替え方|三つの層で整える手順にまとめました
- 体調が優れない方へ — 無理に行事をこなさないでください。休むことが、その年いちばんの厄落としになることもあります。気分の落ち込みが二週間以上続いている場合は、行事より先に、心療内科や精神科への相談を検討してくださいね
まとめ
- 節分は季節を分ける日であり、立春の前日は昔から一年の区切りとされてきました
- 当日の流れは、夕方までに家を通す→豆を供える→豆まき→柊鰯→恵方巻と締めの白湯
- 作法は地域とご家庭で異なります。正解を探すより、自分が区切りをつけられる形にすることのほうが大切です
去年から持ち越している重さが、どこから来ているのか。落とす前に、現在地を確かめておくと、まく手に迷いがなくなります。
季節の節目ごとの整え方は、LINEでもお届けしています。節分の夜に迷いが出たら、いつでも声をかけてくださいね。