再婚に迷う|子どもの気持ちと進め方の順番
子どもが寝たあとのリビングで、テレビを消したまま座っている。相手のことは信頼できる。自分も、久しぶりに息がしやすい。それなのに、子どもの寝顔を見にいった帰りに、決まって同じ考えが戻ってくる。この子にとって、これは良いことなんだろうか——。再婚を考えながら子どものことで迷っているあなたは、そんな夜を何度も過ごしてきたのだと思います。
先にお伝えしておきます。この記事は、再婚をすすめる記事でも、やめておいたほうがいいという記事でもありません。決めるのはあなたと、あなたの家族です。
そのうえで、この記事でお伝えするのは次の三つです。
- 同じ出来事が、子どもの側からはどう見えているか
- 急がないほうがいい三つのこと(会わせる時期、呼び方、生活の変更)
- 迷いの中身を、自分の気持ち・子どものこと・手続きの三つに分けて置く方法
答えを出す記事ではなく、迷いを分けて置くための記事だと思ってください。
まず、子どもの側の景色に座り直してみる
大人の側から見ると、再婚は「新しく始めること」です。ここに至るまでに、考えて、悩んで、決めかけている。時間をかけてきたぶん、心の準備も進んでいます。
子どもの側から見ると、順番が違います。子どもにとっては、まず「今の暮らしが変わるかもしれない」という話です。しかも、その話がいつ始まったのかを知らされていません。大人が半年かけて準備してきたことを、子どもは切り出された日に受け取ります。同じ出来事なのに、助走の長さがまったく違うのですね。
もうひとつ、見落とされやすいことがあります。子どもは、あなたの幸せを願っています。だから、自分の戸惑いを隠すことがあります。「いいと思うよ」と言ったあとで、夜になると腹痛を訴える。学校で急に口数が減る。賛成の言葉と、体のほうの反応が食い違うことは、めずらしくありません。
ですから、子どもの気持ちを確かめるとき、言葉だけを根拠にしないでください。返事より、そのあとの数週間のほうが情報量があります。
そして、いちばん大事なことを書きます。子どもの気持ちを確かめる作業は、賛成をもらうための作業ではありません。ここを取り違えると、子どもは「反対してはいけない」と学びます。あなたが知りたいのは同意ではなく、この子が今どこにいるか、です。
急がないほうがいい、三つのこと
迷っている時期にできる一番良いことは、決めることではなく、順番を守ることだと私は思っています。ここでは三つに絞ります。
1.会わせる時期
相手を子どもに会わせるタイミングは、早めるより遅らせるほうが、あとで取り返しがつきます。会って合わなかったという経験は、子どもの中に残るからです。
目安として、次のような段取りを取る方が多いです。
- 存在を先に伝える。会わせる前に、「仲のいい人がいる」という程度の話を、日常会話の中で一度だけ置く
- 子どもの反応を、その日ではなく数日かけて見る。質問が出てくるなら答え、出てこないならこちらからは足さない
- 初回は、短時間・屋外・第三の場所にする。家に招くのは、まだ先でいいのです
- 会ったあと、感想を聞き出さない。「今日は疲れたね」で終える。評価を求められると、子どもは正解を探し始めます
- 二回目以降の頻度は、子どもの側の様子に合わせる。月に一度から始めて構いません
急かしてくる相手だった場合、そこは大事な情報です。子どもの時間に合わせられる人かどうかは、この段階でいちばんよく見えます。
2.呼び方
これは強制しないでください。お父さん、お母さんという呼び方を、子どもが自分で選ばないうちに決めてしまうと、その呼び方は義務になります。
名前で呼ぶ、あだ名で呼ぶ、そもそも呼びかけずに話しかける。どれも構いません。何年か経ってから呼び方が変わることもありますし、変わらないまま良い関係が続く家庭もたくさんあります。呼び方は関係の結果であって、関係を作る道具ではないのですね。
3.生活の変更
引っ越し、転校、部屋の模様替え、生活のルール、名字の変更。これらを同じ時期にまとめて行うと、子どもは変化を一度に処理することになります。
できるかぎり、ずらしてください。特に、学校が変わることと家族が増えることは、別々の時期にするほうが負担が軽くなります。子どもの持ち物や部屋の配置は、しばらく前のままにしておく。「変わらないもの」が家の中にいくつか残っていることが、子どもの支えになります。
前のパートナーの話は、どう扱うか
子どもにとって、前の親は自分の半分です。ここを悪く言われると、子どもは自分の中の何かを否定されたように受け取ることがあります。
ですから、家の中では、事実だけを短く扱う形が穏やかです。「今は一緒に住んでいない」で十分で、理由の詳細を子どもに背負わせる必要はありません。あなたの側に言いたいことがたくさんあるとしても、それを聞く相手は子どもではなく、大人の相談相手のほうです。
新しい相手に対しても、同じお願いをしておいてください。前の親と比べない、役割を奪おうとしない。この二つを最初に共有できる相手なら、進み方はずいぶん楽になります。子どもの前での大人同士のやりとりについては、子どもの前で夫婦喧嘩をしてしまうときにも書きました。
子どもに不調が出たときは
進めている途中で、子どもに変化が出ることがあります。眠れない、食べられない、朝になるとお腹が痛い、学校に行きたがらない、赤ちゃん返りのような様子が出る。
こうしたときは、原因を家庭内で断定せず、外の窓口を早めに使ってください。学校のスクールカウンセラーや養護教諭、体の症状が続くなら小児科、家庭のことを含めて相談したいときは自治体の子ども家庭支援の窓口や児童相談所(189)があります。相談は、深刻な状態になってからでなくて構いません。学校に行きたがらない時期の関わり方は子どもが学校に行きたがらないときにまとめてあります。
そして、あなた自身の不調も同じです。眠れない日が続く、涙が止まらない日があるなら、医療機関やカウンセリングを検討してください。ひとりで抱え込んでいる時期の重さは子育ての孤独を言えないときでも扱っています。
手続きのことは、専門家の窓口へ
再婚を考えるとき、養育費、面会交流、親権や氏の変更、養子縁組といった話が出てきます。ここは、記事で判断できる領域ではありませんし、個々の事情で結論が変わります。
法テラス、弁護士、自治体のひとり親家庭の相談窓口、家庭裁判所の手続き案内が入り口になります。特に、前のパートナーとのあいだで取り決めがある場合は、動き出す前に一度相談しておくほうが、あとの負担が小さくなります。お金のことも含めて、聞きにくいと感じる内容ほど、無料相談の窓口で先に聞いてしまってください。
迷いを、三つに分けて置く
最後に、迷いの整理のしかたです。紙に三つの見出しを書いて、思い浮かぶことをその下に振り分けてみてください。
- 自分の気持ちのこと(この人と暮らしたいか。ひとりでいる不安と混ざっていないか)
- 子どものこと(今の様子、これから起きる変化、支えになっている人や場所)
- 手続きと生活のこと(住まい、学校、お金、相談先)
やってみると、多くの方が1番の欄でつまずきます。子どものことを理由に迷っていると思っていたのに、実は自分の気持ちがまだ決まっていなかった、と気づくのですね。その場合は、子どもに聞く前に、自分の側を先に見てください。判断の材料を並べ直したい方には、結婚に迷う・決め手がないときの12の問いが使えます。
逆に、1番がはっきりしていて2番だけが未知数なら、やることは決断ではなく、時間をかけることです。急がない三つを守りながら、半年、一年という単位で見ていく。それは先延ばしではなく、いちばん誠実な進め方だと私は思います。
縁を整える視点から
昔から、家族の縁は結び直せるものだと言われてきました。私も、家族の形は一つではないと思っています。血のつながりのある人だけが家族だという考え方も、新しい人を迎えたら前の縁が消えるという考え方も、どちらも現実には合いません。子どもの中では、両方が並んで残ります。
だから私は、再婚を「置き換え」ではなく「追加」と捉えることをおすすめしています。誰かの代わりを立てるのではなく、この子を大事に思う大人が一人増える。その捉え方でいるかぎり、子どもは選ばされずに済みます。
そして、あなた自身のことも忘れないでください。子どものために我慢する形で決めた選択は、あとで子どものせいになりやすいものです。あなたが息をしやすいことは、この家全体の土台です。生活の流れをいったん整え直したい方は運気をリセットする方法に、手をつける順番をまとめました。
まとめ
- 大人と子どもでは、この話に触れてからの助走の長さが違います。返事より、そのあとの数週間を見てください
- 会わせる時期・呼び方・生活の変更。この三つは急がず、ずらして進めてください
- 手続きは法テラスや自治体のひとり親相談窓口へ。子どもの不調はスクールカウンセラーや小児科、児童相談所(189)へ
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